選択の痕跡

音楽・テクノロジー・哲学

2022年上半期 Best Songs(前編)

2022上半期のベストを選んでみました。曲数決めずに選んだ18曲を、順位を決めずに良い感じに並べて、コメントを入れましたので、気になるものがあれば、是非聴いてみてください。
※一つの記事にまとめると、ページが重くなり過ぎたので、9曲ずつで分割しています。後編はこちら

  • Songs

宇多田ヒカル「BADモード」

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宇多田ヒカルについてはここに書いた
改めて振り返ってみても、このモードは、(例年同様かもしれないが)次から次へとシンドイことが起こる、2022年の雰囲気を貫いているように思う。

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中村佳穂「KAPO」

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女性シンガーソングライターであり、ラップにも接近しつつある名盤を世に送り出したという意味では、宇多田ヒカルにも通ずるところがあるが、中村佳穂には宇多田ヒカルとは違った、一つのモードを感じる。
それは、"ギャル"みに溢れているということだ。
"ギャル"の捉え方が軽率ではないかというような話も見かけて、それはそうかもしれないが、マインドギャルの様相が強まったのは、2022年のここまでの流れの一つではあったように思う。
そして、それを自分を肯定したい。ここから何かが変わるかもしれない予感がある。
まさしく、彼女らしい自由な音楽にピッタリのマインドだ。
ルールはないが、エンジョイするべき。私は今最強なのかもしれない。でも、時も気分も"評価"も移ろいゆくのが世の常。その中で、どう身の振りを考えて、それを実践していくのか。そういうことではないだろうか。

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six impala × MANON「TROLL ME」

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2022年の上半期には"hyperpop"が次のフェーズに移ったような感覚があるが、ある意味"hyperpop"としての極地・極致のような曲ではないか。
underscoresも所属するコレクティブ、six impalaと、日本のアーティストMANONがコラボし、話題になったこの曲。(ちなみに、MANONもギャルについて語っている。)
とにかく、どの曲よりも、ぶっ飛んでいた。この過剰さには笑ってしまう。もちろん良い意味で。

Flume feat. KUČKA & Quiet Bison「ESCAPE」

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フルームについては、2019年のサマソニで初めて観て、頭をぶん殴られたような衝撃を受けた。なんでステージでハンマー振り回してたんだ、ヤバすぎた。
そして、この楽曲では、いわゆる"hyperpop"とは一線を画しながら、過剰性を突き詰めたような音を鳴らす。
煌びやかながら未来都市を建立するような音の中に、どこか退廃的な様相も見え隠れするように感じるのは気のせいだろうか。

Kabanagu「熱気」

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トラックメイカー/シンガーソングライターのKabanuguが2021年にリリースしたEP「泳ぐ真似」は、APPLE VINEGAR Music Awardにもノミネートされるほどの評価を受けている。
しかし、今年リリースした「ほぼゆめ」では、そんな過去を継承しつつも、ある意味遠くに置き去りにして、新しい音楽を鳴らしている。
ある種の呪いと化しつつあるかもしれない"hyperpop"を軽やかに乗り越えて、見せたのは"歌"。
自分としては、ど真ん中世代であるBUMP OF CHICKENRADWIMPSを直接経過せずとも、このように響く歌が歌われることには、世代が移りゆくことも強く感じさせた。
この楽曲は、終盤の展開にも圧倒される。このアーティストはまだまだこんなところでは止まらないだろうことが、容易に感じ取れる。そのまま自由に突き抜けてくれ。

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Tohji, Mechatok「ULTRA RARE」

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特別にTohjiに興味が強いわけではない。なので、そんなに意識して聴いたわけでもないのだが、上半期最も踊れた曲はこの曲だと思う。
ダンスミュージックに接近するヒップホップ。
なんでこんなに踊れるのか、良く分からないし、別に分かろうともしていない。
今最もフロアで聴きたい曲のひとつだ。

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tofubeats「PEAK TIME」

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tofubeats初の著書「トーフビーツの難聴日記」は、2022年上半期で最も面白い本の一つだった。
4年ぶりの5thアルバム「REFLECTION」のセルフライナーノーツとして書き留められたこの文章の数々には、ひとりのアーティスト、ミュージシャンが、日々どのようなことを考え、どのように仕事をして、どのように音楽と向き合っているのかが、生々しく伝わってくるものだった。
tofubeatsというアーティストは、もちろん楽曲の良さは大前提として、そういうところに魅力があるのかもしれない。各種インタビューも非常に面白く(特に、in the blue shirtとの長大な雑談は最高だった。)、音楽のみならず、その魅力と深みにさらに惹かれた。(「編集」というキーワードを持ち出すところにも、個人的に強いシンパシーを感じた)
この曲の真髄はそういった彼らしさが詰まっていることのように思う。最後の最後までムードを保ちながらも大逆転ホームランを打つ、その佇まいのクールさには、拍手しかない。

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羊文学「OOPARTS」

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羊文学のここ数年の活躍には、本当に目を見張るものがある。何度も書いているが、良い意味でこんなバンドになるとは思いもしなかった。
このバンドにしては、珍しいエレクトロの鳴りをこの曲はしている。
一聴して思い出したのは、Galileo Galilei「星を落とす」。それはつまり、最高レベルのクオリティということ。
覚醒が止まらなすぎて、良い意味で恐ろしい。更なる風格とクオリティを纏いながら、ポップスシーンをどこまでも突き抜けてほしい。

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松木美定, 浦上想起「舞台の上で」

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2019年に立て続けに知った2人のアーティスト/シンガーソングライターが、漸くここまで来たかという意味で、何様という感じではあるが、非常に感慨深い。
浦上想起は、米津玄師にもフックアップされたし、確実に良い音楽をアーティストがちゃんと評価されていることが嬉しい。この動きが、シーンをひっくり返す日も遠くないと期待したい。

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後編は以下。

shogomusic.hatenablog.com