選択の痕跡

音楽・テクノロジー・哲学

2022.2 Monthly Best Songs

2022年2月に良かった音楽をまとめました。1月の宇多田ヒカルを引きずる時間が長く、あまり音楽聴いてない気がしたのですが、こうやって並べてみると、何だかんだ聴いていますね。

  • Songs

lyrical school「The Light」

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リリスクの新曲は、KMプロデュースに、Lil’ Leise But Goldがコンポーズという盤石の布陣。この質感と音色めちゃくちゃ好きで、ずっと聴いている。この曲について思ったことは以下の記事に一切を込めた。4/20リリース予定のアルバム『L.S.』は相当面白い作品になるのは間違いない。

shogomusic.hatenablog.com

note.com

eill「HARU」

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気鋭のシンガーソングライターによる1stメジャーアルバム「PALETTE」より、タイトルの通り春めいた軽やかさを感じる曲を。

アルバム全体として、ディーヴァとしての風格を一段と深めた1枚となっており、どの曲も聴きどころがあった(思いっきりトラップをやっている「ただのギャル」も非常に面白かった)のだが、個人的には、こういうヒップホップのフロウを感じさせる曲が好みだ。eillの抜群の声とフロウによる、言葉の数々が跳ねるように生き生きと動き出し、メロディを心地よく運んでくれる。そうして生まれる、春らしく気張らずに穏やかなグルーヴが、"世界を色めかせて"、身体に沁みいる。

natalie.mu

4s4ki「go to glory」

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シーンの最前線を攻める4s4kiが、2/16にリリースした最新EP「Here or Hell」より、締めくくりの1曲を。

EPとしては、さらに"攻め"を感じる程、カオスが極まった1枚と感じている。より一層エグみが増して、ハイパーニューパンク・ハイパーカオスポップと言った言葉がピッタリくる音像だ。そういったエグみは、"Hell"の一面が強いが、このEPの最後はこういった光を感じさせる曲で締めるのが良いなと思う。まさしく"Here"の曲だ。
シンプルなトラックの上を、オートチューンを媒介とすることで絞り出すかのような4s4kiの声が、叫びのように、しかしそれでも力強く、"ここ"まで届く。

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phritz「limeade」

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2018年より活動開始しているトラックメイカーの新曲は、音がとにかく豊かだ。色んな音が、色んな場所で鳴っている。インタビューでも言及されているPorter Robinsonにも通ずる綺麗なメロが印象的なエレクトロなのだが、そのメロを軸に、空間を広く使って、音が緻密に組み立てられているかのようだ。ここまで奥行も感じる音はそうない気がする。これだけ色んな音を散りばめながらも、全然突飛には感じずに、一つの曲としてのまとまりを強く感じるのは、とても面白い。

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uku kasai「WHITECUBE」

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完全に見逃していたアーティストだが、抜群に好みの音楽をやっている。ボカロPと並行して、2020年よりuku kasaiの名義で活動開始したトラックメイカー。最近の流れで言えば、確実にHyperpopの風味も纏っているが、もちろんそこでは留まっていないからこそ面白い。

囁くようなメロに被せながら、左右で発し続けられるオートチューンの揺らぎを抱えたハミングが異様で、とにかく耳に残る。それでもシンプルな四つ打ちの心地よさが、なんとか曲を前に運んでいく。真骨頂は、中盤からの展開だ。一瞬の無音を越えて、音色が若干だが、確実に変わる。気のせいではなく、徐々に曲が加速していく。加速につれて、音も声も揺らぎを見せながら、次から次に削ぎ落されていく。遂には低音だけになり、曲を終える。まるで、速度に音楽が置いていかれたかのように。

まだ他の曲はちゃんと聴けていないのだが、マストチェックだ。

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代代代「THRO美美NG」

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アーティスト名の読みは「だいだいだい」。由来は良く分からなかった。Wikipediaの最初の紹介文によると、2016年にライブデビューしたアイドルらしい。アイドルなのはそうなのかもしれないが、形容詞をつけておかないと、勘違いしてしまう。相当ぶっ飛んでいるアイドルだ。その代代代が、2/16にリリースしたニューアルバム「MAYBE PERFECT」より。

名前は見たことがあった気がするが、曲は初めて聴いたと思う。タイトルの読み方が分からなかったのだが、"ズキズキする"といった意味を持つ"throbbing"の当て字のようだ。
ソリッドかつ、ヘビーでカオスなポップだ。狂暴な重低音を中心に、メタルやラウドロックの雰囲気が強い音なのだが、それがポップに仕上げられているのは興味深い。それだけでも印象深いのに、一体6分間の中にどれだけ詰め込むんだというぐらいに展開が詰め込まれていて、めちゃくちゃだ。いまだに曲の全貌は覚えられない。音も重いし、展開もめちゃくちゃで情報過多なのは確かなのだが、音の輪郭が終始丁寧かつポップなので、耳にすんなり馴染む気がしてしまうのは不思議だ。

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CYNHN「アンサンぶる」

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おそらくアイドルと表現しないほうが良いのだろう。4人組ボーカルユニットが2/2にリリースしたニューアルバム「Blue Cresc.」より。

これまでも何度も紹介してきた通り、とにかくトラックやリミックスに起用するアーティストのセンスが抜群なわけで、既発曲再録音バージョンがメインのアルバムではあったが、やはりそのクオリティは間違いない。新曲の中では、高橋國光(österreich / ex the cabs)が作詞・作曲を担当している(こういうセンスが本当に良い)ということで、納得の不思議な音像の「水の中の」も面白かったのだが、この曲もなかなかに良い。

最初パスピエかな?と思ってしまうほど、絶妙な変さ加減のあるイントロから惹かれた。加えて疾走感あるビートに、終始動きまくる面白いギターやベースを重ねて生み出されるリズムも面白く、全体的に真正面から勝負というよりは、ちょっと変化球なのかなと思いきや、フックでは力強さある歌で「アンサンぶる」という造語を衒いもなくぶつけられるのはなかなかに逞しい。この構成には、いくら後ろで巧みなことをしていたとしても、この力強い歌こそが、このグループの強みなのだという矜持を感じる。

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mikiki.tokyo.jp

エドガー・サリヴァン「99%」

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2人組のエレクトロポップユニットが約1年ほどの充電期間を経てリリースした新曲は、抜群に心地の良い1曲。 余白を適度に散りばめた舞台の上を、さまざまな声色を使いながら、物凄く丁寧に音が重ねられているイントロとヴァースを経過して、ストレートに歌われるフック、とりわけ"あと1%、1%"のリリックに、めっちゃグッとくる。

STAYC「YOUNG LUV

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韓国の6人組アイドルグループによる2ndミニアルバム「YOUNG-LUV.COM」より。 このイントロから、このベースが来るなんて予想つかないじゃん。一発でやられてしまった。極端にシンプルながら、音の粒立ち、輪郭がめちゃくちゃカッコ良い。この印象的なベースが、曲全体にちょっと色褪せた雰囲気を醸し出しながら、引き締まった音像を作り出している。

NMIXX「O.O」

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2/2にJYPエンターテイメントよりデビューした7人組ガールズグループの曲は、めちゃくちゃ変だ。個人的には面白いと思うが、正直これは展開に無理があり過ぎると思う。Fear, and Loathing in Las Vegasのように、こういう無茶苦茶な展開がグループの色になったら面白いとは思うが、どうだろうか。
逆にこれが普通に受け入れられるシーンになっていたら、とんでもなく凄いことだ。昨今の流れをみれば、有り得なくもないのかもしれない。

kaki-genkin.hatenablog.com

ずっと真夜中でいいのに。「違う曲にしようよ」

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完全にお茶の間レベルまでポピュラリティを獲得しつつある、ずとまよのニューミニアルバム「伸び仕草懲りて暇乞い」より。
全体的にジャジーな雰囲気が強めの1枚だったかと思うが、どこまでも留まるところを知らずに、歌が深みを増していくACAねの進化・深化が恐ろしい。そのACAねを最も活かせる形で鳴らすバンド隊のストイックさも相変わらずなわけだが、所々に出てくる興味深い音の数々には、らしさがある。

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tofubeats「REFLECTION (feat. 中村佳穂)」

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5/18リリース予定の5thアルバム「REFLECTION」より、先行リリース。
3rdアルバム「FANTASY CLUB」以来の中村佳穂との共演となるわけだが、この唯一無二の歌をこう音に乗せるのか。ドラムンベースを基調としたビートに乗る柔らかなシンセは、風通しが良い。シンプルでさっぱりとしたトラックにが故に、メロと歌がひたすらに際立つが、そうなるようにそれぞれの音の存在感に細心の注意を払って扱われているように感じる。そうやって迎えるフックの破壊力には感服。リリックには重みも感じさせるものの、それでもこの音の中での言葉であり、最後にはちゃんと光が見えるのが、しみじみと良い。

秋山黄色「見て呉れ」

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このシンガーソングライターは、歌に力があるので、声をストレートに運ぶだけでも十分に伝わると思うのだが、随分とキメまくりの曲に仕上がっていて、かなり好み。ギターと相性バッチリの疾走感もしっかり残っていて◎。フック前に転調を持ってくるのも、ちょっと驚きがあって、面白い。

JYOCHO「夜明けの測度」

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4人組バンドのJYOCHOが2/16にリリースした3年ぶりとなるアルバム「しあわせになるから、なろうよ」は、全曲文句なしの出来。マスロックを基調としつつも、まさに情緒を感じさせる確かな温度がある音が、身体の奥深くに響き渡る。
どの曲も本当に良いのだが、珍しくギターが印象的なこの曲を。この洪水のように鳴るギターからの、中盤のめちゃくちゃに歌いまくるギターソロが最高過ぎる。

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米津玄師「POP SONG」

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今回は随分と賑やかな曲だなと思ったら、浦上想起がピアノを弾いているとのことで、勝手に納得。この鳴りの印象は浦上想起に近しいものを感じる。この曲を起点に、浦上想起の紹介から、今注目されるに値する理由、そしてCRCK/LCKSや坂東祐大、井口理、常田大希、西田修大、松丸契といった今の最高に面白いシーンとの関連までに触れるこの記事は、最高だった。

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natalie.mu

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Hana Hope「Your Song」

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これまでもROTH BART BARONの作品などに参加していたHANAが、Hana Hope名義でデビュー。
そしてこの曲は、浦上想起がアレンジを担当している。浦上節があちこちに鳴るキラキラに光る音の一つひとつ、とりわけシンセの鳴りに詰まっている。

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SPiCYSOL「Far Away」

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UK.PROJECT所属の4人組ロックバンドの新曲は、一瞬BBHFかと勘違いしたほどの爽やかで壮大な音。こういうギターリフ、最高に好きだ。

audiot909「RAT-TAT-TAT」

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最近気になっていたAmapiano。 こういう形で日本でも聴かれるのは、とても良いことなんじゃないかと個人的には思う。

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