選択の痕跡

音楽・テクノロジー・哲学

2024.1 Monthly Best Songs

2024年1月に聴いて良かった音楽のまとめです。
最近、バンドが良い感じ。

  • Songs

ドミコ「あたしぐらいは願うたび」

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2ピースロックバンドのニューEP「異(上)」より。
このバンドにしては穏やかな始まり方をする曲。ギターのみで歌い上げるさかしたひかるのボーカルに聴き惚れる。
そして、中盤からビートが乗ってからが本領発揮。カタルシスが炸裂する。
この気の衒った感じが一切しない、シンプルでストレートな音像に対して、癖のあるボーカルとのアンビバレンスさがやみつきになる。終盤の情感が詰まりに詰まったギターソロにもガッツポーズ。
ドミコの一貫したブレなさ・真摯さには舌を巻く。本当に信頼できる音を鳴らしている。

柴田聡子「素直」

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2月28日(水)にリリース予定のニューAL『Your Favorite Things』から第三弾先行シングル。
共同プロデュースに岡田拓郎ということで、どこまでも澄んでピュアな音像。
それしてもこの人の歌は、フロウの乗り方が抜群なのだが、歌というか、ギリギリちょっと違った別の何かのようにも聴こえる。もっと神聖な気何かな気も、もっと身近な何かな気も。不思議な感覚だ。
らしさを感じる転調も見事。
ユリイカでとんでもない執筆陣による特集も組まれるそうで、今年は柴田聡子の一年になるのかもしれない。

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高岩 遼「I'm Prince」

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SANABAGUN.のフロントマンによるソロ名義でのニューシングル。
ソロとして最近ちょこちょこ名前を見るようになったなと思ったら、2023/8にリリースしたアルバム『TERROR』が5年ぶりのリリースだったそうで。それ以来のリリース。
アルバムちゃんとチェックしてなかったので懐かしい感覚なのだが、纏う風格が何段も研ぎ澄まされている。
瞬間瞬間に滲み出るカリスマ性、まさしくプリンス。軽やかさと重厚感の狭間を、ほとんど音もなく一瞬も聞き逃せないヒリヒリ感で、闊歩していく。
ちょっとカッコ良すぎた。

EASTOKLAB「Dawn for Lovers」

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4ピースバンドのニューAL「泡のような光たち」のリード曲より。
The Skateboard Kidsの時代から大好きなバンドで特にボーカルに惚れていたのだが、この曲も冒頭からボーカルが本当に良い。聴きやすさと耳に残るフックのバランスが絶妙だ。
もともと電子音を取り入れているバンドではあるが、今作はアルバム全体を通して、より電子音の印象が強まって、バンドとしての成熟をかなり感じられる。四つ打ちベースのビートに乗る音像が、これまで以上に高く広く、響き渡るようになった。
この曲は、特に言葉の力強さが胸を打つ。身体に染み込んで、内から突き上げてくるような音楽だ。

Laura day romance「Young life」

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注目のインディーロックバンドの2024年最初のデジタルシングル「Young life/brighter brighter」より。3ピースとなって最初のリリースだ。
いつ聴いても、言葉が綺麗で、大事に大事に届いてくるバンドだ。
諦念を感じさせる、限りなく温度が低い言葉を、そのままの温度で届けられるのがこのバンドだと思う。最後のリリックとか、本当にしみじみと良いなと思わせる。

young life
アセチレン 燃やすように
日々日々 燃え残って
灰になって あぁ また
ヒリヒリ
young life
長い目で
見てって嘘ついて
Young life 赤い目
あぁ また 日々日々

lp.p.pia.jp

No Buses「Them Us You Me」

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多作の4ピースバンド、今年2曲目のリリースより。
細かな音の刻み方がカッコ良いバンドだなと思っているが、今作も炸裂している。そしてドラムの音がめちゃ良い。
最近は日本語詞も多いようだが、この曲もサビの日本詞が際立つ。この楽曲の中にあって、ここまではっきり立たせる構図にするあたり、流石だ。

FIVE NEW OLD「Showdown」

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4ピースバンドがTVアニメ「HIGH CARD season 2」のOP主題歌として配信リリースした楽曲。
入りのハイトーンを聴いて、一瞬誰か全然わからなかった。思い切りが良くて良い。
ブラスも満載で、アニメタイアップっぽいキャッチーさが詰まった楽曲に仕上がっているが、性急に展開を駆け抜けていく感じなど、らしさがてんこ盛り感がある。
もうちょっとまとまりよく構成しても良い気もするが、これはこれで好みなので全然アリだ。

フレデリック「PEEK A BOO」

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ダンサブルな楽曲が印象的な4ピースバンドの新曲。
最近本当に良い。音の質感やリズムの引き出しが多彩で毎回新鮮な気持ちで聴くことができる。それでいて、しっかり踊れるように仕上げてくるあたりに、バンドとしての地力を感じる。
プレフックの大胆な展開も、2番への繋ぎ方も面白い。全体的にどこかしっくりとこさせない感じが逆に良い。
ちなみに「PEEK A BOO」は「いないいないばー」という意味らしい、なるほどな。

ASP「Heaven's Seven」

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WACK所属7人組アイドルグループの新曲は、作曲をYohji IgarashiとPecori(ODD Foot Works)、作詞をPecoriという外れるわけがない布陣。
hyperpopの流れを感じさせる楽曲が印象的なグループだが、今作もこの作曲陣にあって流石のトラック。
まずイントロからメロが素晴らしい。全体的にエレクトロ強めで進むが、特にプレフックの前半の歪なリズム感は、強烈に耳に残る。
そして、サビにおける爆発感。強いビートと上で鳴りまくるシンセの音にテンションが上がる。

ExWHYZ「Our Song」

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こちらもWACK所属の6人組アイドルグループの新曲は、大沢伸一の「Our Song」をカバー。
原曲を知らなかったので普通にオリジナルだと思って聴いていたのだが、どこかレトロ感を感じる音像だったので、カバーと聞いて納得。
低音のざらつきある音が印象的だが、左右で鳴る謎の音も面白い。ここからサビの強烈な電子音へシームレスに繋がるあたり、流石の出来栄え。
全体を通して、ギリギリ上げ切らない感じが永遠に踊れる感じがして、絶妙な塩梅。

SATOH「OK」

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2人組デュオのメジャー1stシングルは、思い切りロックに振り切った楽曲。
もともとhyperpop文脈で注目していたアーティストだったが、まさかここまで振り切った楽曲もできるとはちょっと驚いた。当初彼らに抱いていた印象が良い意味でばっさり裏切られた。
イントロの音像から驚きなわけだが、シンプルにベースで推し進めていく展開が癖になる。気だるいボーカルにバッチリのトラックだ。
こういうシンプルに聴かせる強みが彼らにはある。それでいて、これからどこにいくのか全然読めないのが面白い。

the bercedes menz「開口部」

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このバンドについては別でしっかり書きたいが、まだMPが溜まり切っていないので、また今度。
2023年リリースの1stフルアルバム「ザ・ベルセデス・メンツの幸福な子供たち」もとても良かったのだが、今一番ハマっているのは2022年リリースのこの楽曲。
“ハードコアJ-POPバンド"の名に相応しく、キャッチーで激しさに塗れた楽曲で、曲としての完成度が高いと感じる。
イントロのバキバキのギターリフ。ドラムの力強いビートとリズム。崩れながら傾れ込むフロウ。今にも壊れそうなギリギリのバランスで歌い上げるボーカル。全体を通してどこか歪な音のバランス。
このどれを、どこの瞬間を切り取っていても、衝動が詰まっていて、ひたすらかっこよい。これぞバンドという音楽を演っている。
腰が砕けるような転調の大胆さにも大笑いしてしまう。
そして、最後に迎える「死にながら生きている」というリリック。
何度聴いてもバンドの魅力が最良のバランスで仕上がっている。この3分半に全部詰まっているのでは。