選択の痕跡

音楽・テクノロジー・哲学

2024.3 Monthly Best Songs

2024年3月に聴いて良かった音楽のまとめです。
今月は、踊れる音楽が多くなりました。

  • Songs

yahyel「The Flare - Salvaged」

www.youtube.com 各種ストリーミングサービスへのリンク

4人組バンドの新EP「SALVAGED」より。このEPには、2016年リリースの1stアルバム『Flesh and Blood』収録曲を再解釈、再構築した4曲が収録されており、その中でもこのアレンジが一番好みだったかなと思う。
個人的に1stALへの思い入れが強すぎて、あの爆発感がどうしても脳裏に浮かんできて、このEP自体にそこまで入り込めないのだが、
この曲は、原曲の風味もどこか残りながら、それを最大限抑制して、また違った緊張感を生み出している。
ほぼノイズのような音で鳴るサビのシンセが奏でるメロディに感情が揺さぶられる。これがyahyel流のロックミュージックらしい。なるほど。

ライブどうなるのかと思いましたが、良かったですよ。今のyahyelのモードがよくわかった。確かにプレスリリースに書いてある通りの音楽だった。

spincoaster.com

note.com

カマシ・ワシントン「Prologue」

www.youtube.com 各種ストリーミングサービスへのリンク

カマシなんて、名前は知ってるぐらいで、ちゃんと聞いた記憶はあんまりないのだが、この間たまたま寄ったお店でかかっていた曲がカマシだったみたいなこともあり、なんとなく気になって再生してみた曲。
とりあえずびっくりした。良すぎた。8分強ある曲がずっと良くて、しかもどんどん熱を帯びていく。ちょっと何も言えないほどの迫力で、これが現代最高峰のアーティストなのね、、、となった。とんでもない音楽。

BBY NABE「TYPE BEAT」

www.youtube.com 各種ストリーミングサービスへのリンク

大好きなシンガーソングライターの新曲。
明確にイントロがあって、そこからプロデューサータグを高らかに叫んで曲に飛び込んでいく感じとか、めちゃくちゃ好み。あがる。
「君は俺の TYPE BEAT」というフレーズが曲の軸となっているものの、自分はいまいち意味をうまく取りきれてないが、どこを切り取ってもキャッチーな曲に仕上げるあたり、らしさが貫通していて、さすが。

ポーター・ロビンソン「Cheerleader」

www.youtube.com 各種ストリーミングサービスへのリンク

日本にも馴染みが深いプロデューサーの新曲は、これまでの人懐っこい音楽とは趣向が違う、新しい音楽性が垣間見える楽曲。
唸るシンセが耳に残るし、終始掻き鳴らされているギターも印象的だ。印象はこれまでと違いながらも、身体を無理やりにでも突き動かすような強靭なポップミュージックである点はさすが。

TREKKIE TRAX CREW「Crystal」

www.youtube.com 各種ストリーミングサービスへのリンク

昨年、レーベル創設11周年を迎えたダンスミュージックレーベル〈TREKKIE TRAX〉だが、その主宰であるandrew、Carpainter、futatsuki、SeimeiによるサウンドチームがTREKKIE TRAX CREW。
そんなクルーが、イギリスのプロデューサーデュオ・Snakehips主宰レーベル〈Never Worry Rrcords〉からのリリースしたのがこの曲だそうだ
シンプルなフレーズではあるが、鍵盤の音が最高だなと思う。この音だけで無限に踊れそうだが、これに多様なビートが加われば、そりゃもうたまらない。

wa(l)ternative「untitled」

www.youtube.com 各種ストリーミングサービスへのリンク

1999年生まれ神奈川出身のラッパー/アーティストの楽曲。2023年1月よりジャンルを横断するような幅広い楽曲を毎月連続リリースしており、この曲は第15作目となる同名のEPのタイトル曲。
陳腐な言葉になってしまうが、エモい。hyperpopを経由したトラックに乗る文学的な言葉は、場面場面に応じて加工されて違ったテクスチャーで届いてくるが、そのどれもが瑞々しく跳ねている。

"それに名前はつけないで/終わらなくするために欠いてる"

水曜日のカンパネラ「たまものまえ」

www.youtube.com 各種ストリーミングサービスへのリンク

安定のケンモチヒデフミワールドが展開される新曲は、Amazon Originalドラマ「僕の愛しい妖怪ガールフレンド」の主題感として書き下ろしたもの。
とにかくドロップがとんでもない、なんだこれ笑
明らかに凶暴なトラックなのに、ここに可愛らしいリリックと詩羽の幼さも感じさせるボーカルが乗ると、ちゃんとポップスになるんだなという驚き。

Kohei Shimizu「∀TENSHI +*.(feat. Mashinomi)」

www.youtube.com 各種ストリーミングサービスへのリンク

2023年にsooogood!から本名である現名義に改名したが、その楽曲の良さは相変わらず、というかさらに磨きがかかっている気がする。
今作は1997年生まれのコンポーザー/SSWのMashinomiを客演に迎えた1曲で、読みは「エーテンシ」。Mashinomiとは“NO ID!”、“GIMME ( ;~; ).”、“Distortion world .(ʻ^ʼ )”に続いて4作連続でのコラボとなる。
本人のコメントの通り、"ハイパーポップ×ヒップホップな中毒カワイイソリッドポップ"という形容が相応しい。
あちらこちらで音が鳴りつつも、全体としてのバランスはしっかり整えられていて、踊れるし、スタイリッシュな様になっているのが、この人の曲の面白さだと思っている。Mashinomiの無機質ながら小気味良いフロウも、楽曲によく合っている。
そして、終盤の転調が抜群すぎて、聴くたびに叫びたくなる。

Guiano「Good Style」

www.youtube.com 各種ストリーミングサービスへのリンク

ボカロP/シンガーソングライターによる半年ぶりの新曲。
一聴して、Bメロから打ち鳴らされる怒涛の裏打ちビートがかっこよすぎて痺れた。シンプルだけど、こういう展開大好きなんだよなぁ。
楽曲としては、Guianoなりの"Good Style"を、目の前の現実と葛藤しながら、言葉を重ねて表現していくリリックが一つのポイントだろう。
はっきり言ってしまえば、この"吐露"に新鮮さは特になく青臭さもあるが、それが悪いとは思わない。
今のGuianoには必要なものなのだろうし、だからこそ宿る力強さが、この曲にはある。

tipToe.「レゾンデートル」

www.youtube.com 各種ストリーミングサービスへのリンク

6人組アイドルグループの新曲。
いまだにこのアイドルのアティテュードはよくわかっていないのだが、今作は高速邦ロックが流行った時代を想起させるような4つ打ちビートだ。
もちろんその焼き増しでは全くなく、細部のアレンジやメロディーの起伏には面白みがある。
このスピード感全開で、ひたすら駆け抜けていく感じがいいね。

田中喉笛交響楽団「diaspora!!! (feat. ねぎしのはん)」

www.youtube.com 各種ストリーミングサービスへのリンク

ハードコアJ-POPバンドthe bercedes menzの主宰及びベースの田中喉笛による田中喉笛交響楽団による、現在制作中の1stアルバムより先行シングル。今作のボーカルとベースには、ねぎしのはん(トップシークレットマン / sidenerds)を迎えている。
ちなみに、交響楽団と言いつつ、田中喉笛1人らしい。どういうこと?笑

ひとこと、異様な曲だ。
イントロのめちゃくちゃ良さそうなポップスな雰囲気漂わせるシンセの音に、ちょっと場違いな印象が強いベースが飛び込んでくる。
そこに、ねぎしのはんの心地よい質感ながらも耳に残る可愛らしいボーカルが入ってくれば、やっぱりこれはポップスなんだろうな、とほっとする。
そしてBメロ。全てを察する、田中喉笛のフロウと爆音ベース。
あとはもう、そういうことでした。キメラみたいな曲だった。ベースソロバトルもあり、ここまでベースが印象的な曲は珍しく、面白い。
ちなみに、もちろんこういうの大好きですよ。