選択の痕跡

音楽・テクノロジー・哲学

2019.10 Monthly Best Songs

2019年10月にリリースされた曲・アルバム、もしくは発表されたMVから特に良かった10曲を選びました。
最近良い曲多いのですが、それに反比例するかのようになかなか音楽聴く時間も取れていないので、いつもよりも簡略版で失礼します。。。

 ■Songs

10:The fin., 小袋成彬 「COLD」

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イギリスのロンドンを活動の拠点におく2人組バンド The fin.と、今年活動の拠点をロンドンに移したシンガーソングライターの小袋成彬がロンドンでレコーディングを行った共同作品。
インタビューからも溢れ出るお互いを信頼している雰囲気がとても良い。
曲としては、The fin.のインディーロックは綺麗な風景が思い浮かぶかのような音の印象が強かったが、そこに小袋成彬の無機質なビートとエレクトロがまじりあって、不思議な雰囲気を醸し出すうえに、荘厳さすら生み出している。

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9:Shurkn Pap「NEW CLASSIC」

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兵庫県姫路市出身のラッパーの新作からの1曲。 Shurkn Papは同所のヒップホップクルー・MaisonDeの一員としても活動している。
終始感じる、これが「NEW CLASSICだ」と言っているかのような気概が素晴らしい。
あまりにもストレート過ぎて気恥ずかしさもあるかとも思ったが、そんなことは一切なく、これが丁度いいぐらい、魂が籠っている曲だ。

8:赤い公園「Highway Cabriolet」

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新ボーカル石野理子を迎えて、見事な復活を見せたガールズバンド 赤い公園の新作からのミドルチューン。
この曲は、石野理子の癖のないボーカルの特徴がうまく活きた1曲になっていると思う。
全編通して言葉の選び方や並べ方もとても面白く、新しい"赤い公園"の形が垣間見えた気がする。

7:CRCK/LCKS「ながいよる」

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一流のアーティストたちが集まっているバンド CRCK/LCKSの1stフルアルバム『Temporary』からの1曲。
シンガーの高橋あず美に提供した曲を再構築した曲で、キャッチーさがありながらも、普通じゃないよねというのが良くわかる展開、そして時折現れるはっとさせられる言葉に、このバンドの非凡さを存分に感じることが出来る。

6:崎山蒼志「感丘 (with 長谷川白紙)」

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シンガーソングライター崎山蒼志の2ndフルアルバム「並む踊り」より、長谷川白紙を迎えた1曲。
最初から最後まで、綱渡りかのようなドキドキハラハラのメロディと展開を見せるこの曲。 長谷川白紙のカオスさ満載のプロデュースが、崎山蒼志の新たな一面を引き出していることは間違いないだろう。
それにしても何度聴いても、若干の違和感としっくり来る瞬間を繰り返す。それぐらい絶妙な構成がとても面白い。 

5:DEAN FUJIOKA「Shelly」

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フジテレビ系 ドラマ「シャーロック」主題歌となったこの曲。
DEAN FUJIOKAの音楽の面白さは、すでに数多くの注目を集めているが、この曲も素晴らしい。
何か飛びぬけているものを感じるというよりは、現行R&Bとして、やるべきことをしっかりやっているというのが素晴らしい。この曲がお茶の間に流れているというだけで、とても良いなと思う。
終盤の怒涛の展開は必聴。

realsound.jp

4:SuperM「I Can't Stand The Rain」

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韓国は次から次へと面白いアーティストが出てくる。
SuperMは、SMエンターテインメントが、新たに生み出したグループ。
SHINeeやEXO、NCT 127といった人気グループからメンバーを集めており、「K-POP界のアベンジャーズ誕生」とまで言われているようだが、その曲の質の高さも驚くべきものがある。
この曲は、HipHopやEDMの要素を感じさせながら、一体どこがサビなのかも良く分からない展開や、ビルドアップと共にどんどん音程が上がるボーカルなど、聴きどころ満載で、韓国グループの曲のアイデアの多様さを感じる。

3:official髭男dism「Rowan」

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今や飛ぶ鳥を落とす勢いのヒゲダンの新譜からの1曲。
イントロからその音の質に耳を奪われるほど、アルバムの中でも異質な存在だと思う。
作詞・作曲はギターの小笹大輔が、アレンジとミックスをillicit tsuboiが行ったこの曲は、ウッドベースやピアノといった生の楽器と、シンセや多種多様なSEのようなエレクトロ系の音を、藤原聡の抜群のメロウでソウルフルでキャッチーなボーカルがしっかりまとめあげている。
彼らのメインストリームの曲ではないと思うが、この質感の音楽がやれるグループはヒゲダンぐらいではと思わせる会心の1曲。
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2:ずっと真夜中でいいのに。「グラスとラムレーズン」

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今一番面白い邦ロックバンドはこのバンドだろう。"ずっと真夜中でいいのに。"のファーストフルアルバム『潜潜話』から。
アルバムからは良い意味でどの曲を選んでも良かったのだが、この曲は音数を絞っていて、その音の配置の仕方が、ここしかないというバランスになっていると感じる。
音数は多くないものの、多様な音に溢れており、終盤にはボーカルのACAねのボイスパーカッションのようなパートもあり、いまだに何物だか良くわからないこのグループの底知れぬ可能性を感じる。

1:BABYMETAL「Night Night Burn!」

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Night Night Burn!

Night Night Burn!

  • BABYMETAL
  • メタル
  • ¥250
  • provided courtesy of iTunes

music.apple.com

BABYMETALの3枚目のアルバム「METAL GALAXY」から。
このアルバムはとても面白かったので、どこかでしっかりとまとめたいところなのだが、その中でも個人的に好きな1曲がこの曲。
アルバム通して、世界中の色んな音楽の要素をメタルと融合させることに成功しているが、この曲はクラーベのリズムを取り入れていて、ラテンの匂いを強く感じさせる。
特にBメロは、もはやメタル要素を一度引っ込めるほどの大胆さだが、SU-METALのボーカルの進化もあり、全く違和感を感じさせない。
SU-METALのボーカルの話を続けると、2番のAメロの彼女のボーカルは、リズム感がとても素晴らしく、そのストレートな声が評価されていた時代の彼女からとてもつもない進化を遂げていることを感じさせる。
メタルだとかメタルじゃないとか、色々話題にはなるが、そんなことはどうでもよく、音楽としてここまで面白い音楽を奏でるアーティストはそう多くないのは確かだろう。

■Albums

  • uami「消費散文」

福岡在住のシンガー・ソングライター/トラックメイカーによるEP。uamiの多作さと得体の知れなさは恐怖を感じるレベル。
お気に入りは「見た夢」。この分裂した音の数々が、どうまとまって曲になったのか。

mikiki.tokyo.jp

星野源がSuperorganism、PUNPEE、トム・ミッシュという豪華アーティストを迎えて作成したEP。
正直めっちゃ良い曲だなという感じはないのだが、力を抜いて、やりたいことをやっているのだろう。
あとで振り返った時に、重要な一枚になるんだろうなという予感がする。  

  • ravenknee「the ERA」

5人組バンドによるフルアルバム。
エレクトロの要素が強いものの、それだけに留まらない。
日本語詞にも挑戦しており、今後にも期待できる1枚。  

  • ポルカドットスティングレイ「ハイパークラクション」

ポルカというと、ギター弾きまくりで高速4つ打ちという印象が強かったのだが、「おやすみ」という曲がそのイメージを裏切っていてとても良かった。
バンドとして少し消費されつつあるような気もするので、今後今の状況を打破していくチャレンジを見てみたいところだし、それが出来るだろうと「おやすみ」を聴いて思った。

realsound.jp

ミセスの4枚目のフルアルバム。
曲としては以前も紹介した「How-to」が好きだが、他の曲もやはり面白い。
単発で曲を聴いていたときはちょっと印象薄いかなとも思ったが、アルバムを通して聴くとこのバンドの良い意味で節操のなくアイデア溢れる曲たちだなと思う。

realsound.jp

  • the engy「Talking about a Talk 

京都発の4人組ロックバンドのメジャーデビューアルバム。
最近注目を集めつつあるようだ。ボーカルの声と熱量が素晴らしい。

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  • ゆnovation「朗らかに」 

プロデューサー/鍵盤ハーモニカ・プレイヤー ゆnovationの新作。
タイトルの「朗らかに」という言葉の印象の通り、柔らかな音楽で、安心する。
そして、何よりも「ある程度ある」は改めて、控えめにいって最高である。
今の時代をすごくストレートに表現しきっているこの曲は、朗らかにverということで、原曲よりも歌の印象が強められていて、その言葉一つひとつを改めて噛み締めることになるだろう。