選択の痕跡

音楽・テクノロジー・哲学

2021.12 Monthly Best Songs

2021年12月に聴いた音楽をまとめました。今年最後ですが、ライブ盤がいくつか出ていて、やっぱライブは良いなぁと思いました。

  • Songs

KM,(sic)boy「mad tokyo psychic (Theme of +81 Connect)」

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KMの81秒のオリジナルトラックに、最前線のアーティストたちがリリックを乗せて配信していく、Spotifyの企画にて、ついに(sic)boy登場。

過去にも紹介した気がするが、まずトラックが良すぎるというのは前提にあって、この81秒で、これぞKM×(sic)boyという表現を存分に見せてくれている。何より良いなと思ったのは、このバチバチのトラックに、メロディから突っ込んでいくところ。これは(sic)boyにしか出来ないだろう。
トラックの印象的な低音も威力抜群で、そこに乗ったメロディとラップが縦横無尽に魅せてくれる、そりゃカッコ良いに決まっている。

realsound.jp

(sic)boy, 釈迦坊主, KM「落雷 - KM Remix」

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続いても(sic)boy。ニューアルバムより。最も過激でハードな曲を。なんだこれ、カッコ良すぎる。

こんな当たり前のこと言ってもしょうがないのだが、もはやヒップホップの枠は飛び越えて、明らかにロックでラウドな音像なわけで、とにかくブチ上がる。かといって、ポップネスはもちろん失っていない。むしろこれだけ過激になればなるほど、その力強いポップネスが浮かび上がってくる。ひたすらカッコ良い、好みは置いておいて、これがカッコ良いと思わない人いるのだろうか。
こういうラウドな音が最近は足りない気がする。インタビューでも話している通り、Bring Me The Horizonとやってほしい、めちゃくちゃ良いものが出来ると思う。絶妙な立ち位置を保ち続ける(sic)boyには、まだまだ無限の可能性を期待してしまう。

fnmnl.tv

eyescream.jp

Dos Monos「王墓」

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Dos Monosの新曲は、まさかの「ドキュメンタル」の劇中歌。本当にこの人たちがやることは常に挑戦的で、面白い。

曲も絶妙なまでの意味の分からなさ、というかズレがある。フロウは、明らかにビートに真正面からは乗らずに、ズレた乗り方をしているし、リリックは、荘子itとTaiTanはお笑いに寄せつつも、没は全く違った切り口からラップしてくるし、一体何なんだ。極めつけは、MV。18分ある。一体何なんだ。Twitterで見かけたが、先日のアルバムよりも尺が長いって、まさかね。。。

とにかく、音楽の枠に囚われずに、今最も面白いことをやってくれそうなアーティストであることに違いない。しかし、本人たちも言う通り、Dos Monosだけがやるだけじゃ面白くない。セカンドペンギンが出てきて、もしくはDos Monosにケンカを売るようなアーティストが出てきて、社会全体に、大きな渦が生まれることを期待する。
まずは、プロ野球界、Dos Monosとまじで何かやってくれ。

tokion.jp

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C.O.S.A.「Mikiura feat.KID FRESINO」

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盟友ともいえるだろう2人の曲。何も言うことはない。この2人のラップは、生々しい手触りがある。奇を衒った展開は何もない。しかし、だからこそ、そこに込められた気概と迫力に圧倒されると同時に、心底綺麗な音楽だなと思う。
C.O.S.A.は、1/12にニューアルバムリリース予定とのこと。楽しみだ。

STUTS, tofubeats「One」

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STUTSの新曲は、tofubeatsを客演に迎えつつ、自らのラップも長尺で披露している意欲曲。イントロから、ストリングスの鳴りが素晴らしくて、クラシックの雰囲気の感じる。

在宅勤務を最大限に活用して、テレビでの披露も観ることが出来た。色々あるけれども、シンプルで強度があり、かつポジティブな方向に旗を立ててくれるような曲を創り出してくれることが嬉しい。

パスピエ「深海前夜」

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パスピエのニューアルバム「ニュイ」の1曲目を飾る曲。

今作は、アルバム全体としては、比較的ストレートに表現をした音が多いなと感じているのだが、この曲は、パスピエ流のドラムンベースというか、ブレイクビーツというか、そういう音像が観えて面白いと思う。

アルバム全体の趣の変化はとても興味深い。
「言わなきゃ」とか、まさかここにきて、ここまで純な音で勝負するのかと思うほどだったが、インタビューを読んでいると、パスピエというバンドが相当に成熟してきているように感じるので、そのムードが音に乗っているんだろうと感じた。

mag.digle.tokyo

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fishbowl「距離」

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静岡のアイドルグループのニューアルバム「主演」より。
アイドルポップスの極致みたいなことをやっているグループだ。めちゃくちゃ良い。トラックの良さはこのグループはもはや当たり前になっているのだが、この曲はそこに乗る歌が良いなと思う。なんというか、歌が相当に、"地に足がついている"と感じた。言葉が上滑りしていないというか。自分たちの言葉に消化・昇華されていると感じるほど、伝わってくる歌だ。こういうところに、アイドルポップスの面白さや良さというのを感じる。

fishbowlは、同時に「客演」という、「主演」の曲に対して、全曲ゲストボーカルを迎えたアルバムもリリースしている。今、相当に面白いことを仕掛けているグループであることに間違いない。

サカナクションプラトー

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随分と久しぶりにサカナクションの新曲を聴いた気がする。ドラムのタム捌きや、2番のベースの鳴らし方とかが個人的なツボをしっかりついているというのもあるのだが、パッと光が差し込むような展開を魅せてくれるフックが流石に素晴らしいなと思う。

King Gnu「一途」

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King Gnuの新曲は、今を時めく「劇場版 呪術廻戦 0」主題歌。このバンドに対しては「Vinyl」の面影をずっと追いかけてしまうし、「呪術廻戦」も個人的に結構思い入れのある作品なので、若干恐る恐るではあったのだが、こういうギターを前面に出して、疾走していく曲は、カッコ良いと思う。やっぱりこのバンドはギターが主役だ。
Arctic Monkeys「Brianstorm」感は否めないが、これも意図的かもしれない。また、彼らなりの"呪い"の解釈をしっかり見せてくれているのが、とても良いなと思った。

realsound.jp

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フレデリック×須田景凪「ANSWER」

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フレデリックと須田景凪が、アプリゲーム「テイルズ オブ ルミナリア」のインスパイアソングとして書き下ろした1曲。

フレデリックとは、絶妙な距離感を取り続けてきたのだが、結構面白い曲作っているなぁと最近感じている。ようやく聴いた 和田アキ子「YONA YONA DANCE」もめちゃくちゃ良いなと思った。踊らせるだけのバンドという偏見が長らくあったのだが(というか一時期はそうだった気がするが)、勘違いだった。一辺倒にはならずに、独自の音の紡ぎ方が出来るバンドだと、考えを改めた。

LUCKY TAPES「BITTER!」

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LUCKY TAPESがクリスマスイブに配信開始したこの曲は、今年の6月~9月まで実施されていた「サッポロ生ビール黒ラベル『STAR JAM SESSION』キャンペーン」に提供したもの。ジャケットも非常に良い感じだ。

このバンドはかなり好きなのだが、思い出深いのが、数年前にブラス隊も参加していたライブを観た時のこと。相当に感動した。それだけの音が鳴り響いていた。それ以来、日本のバンドで、最もブラスが似合うのはLUCKY TAPESじゃないかなと思っている。
そして、今作は、ブラスがふんだんに用いられている。要は最高である。この多幸感を生み出せるバンドはそういない。

PEARL CENTER「clouds - Orb Live at Liquidroom

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PEARL CENTERが9月に発表した「Orb」のリリース記念のライブ音源。

この曲が単純に好きすぎるのだが、MATTONのボーカルが、音源よりもさらに良すぎて、まじでビビった。。。
一瞬でMATTONと分かるこの声の質、この艶。ファルセットの響きの美しさ。この人のボーカルは相当良いと思っている。

VaVa「8 bit Cherry - 730 Live ver.」

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VaVaもツアーの音源をリリース。良い音鳴っている。このブリッジからのフックでブチ上がらないわけがない。

SuiseiNoboAz「3020」

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さらに、SuiseiNoboAzも最新アルバム「3020」を携えて開催したライブの音源をリリース。アルバムもバチバチにカッコ良かったわけだが、ライブ音源はもっとカッコ良かった。なんだこれ。

No Rome「How Are You Feeling?」

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ほとんど知らなかったフィリピン・マニラのアーティストなのだが、ビートのリズムと質感に、懐かしさと新しさが共存している印象があって、めっちゃ良いなと思った。

underscores, gabby start「Loansharks」

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ビビった。underscores、こんなこともできるのか、、、ニューアルバム「boneyard aka fearmonger」より。

イントロからのgabby startのキュートなボーカルも印象的なのだが、何よりマスロックみのあるギターリフに衝撃を受けた。左右に振りつつも音量を抑えていて、随分と巧妙かつ上品。それでいて印象的なリフだ。
そこに、お得意のHyperpop的な鳴りもがっつり織り交ぜつつ、曲を丁寧に展開させていく。全方位、めちゃくちゃ綺麗なバランスで曲が創られているなぁと思いながら聴いていたら、最後は全部ぶっ壊すかのようなEDMへと突然突入していく。そういうところよ笑

musit.net

MON/KU「MOMOKO

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MON/KUの新曲を一聴して最初に思ったのは、なかなかにぐちゃぐちゃな音の連なりだなということ。でも、ちょっと噛みしめてみると、ぐちゃぐちゃのように思えた音は、星座のように何か意味のある形で、その一つひとつが意味を発しているように思えてきた。
雄大で、綺麗で、圧倒的な音楽だ。

松木美定「人生の銀幕」

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松木美定の新曲は、漫画家である石田スイの新作漫画『超人X』の単行本発売記念の特別コラボPVの音楽というんだから、なんかすごい事になっている。
松木美定の音楽は、1秒目から、絶大な安心感を与えてくれるわけだが、今作もそういう音を鳴らしてくれている。今回初めて、打ち込みではなく、生ギターと生ベース、そして女性コーラスが入っているということだが、確かにこれまでとは違った、より温かみがある質感を感じることが出来る。とはいえ、良い意味で松木美定らしさは全く変わらない。本当に安心できる。

prtimes.jp

碧海祐人「不揃い」

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シンガーソングライター碧海祐人のファーストアルバム「表象の庭で」より。
この人の音楽は、特にいつも言葉にするのに困る。身体に沁み込むように鳴る音。生活のムードに溶け込むような音楽。ただのメロウとかジャジーとかそういうのとは違う何かが、相当にある気がする。
とは思うのだが、とりあえずは深く考えず、この心地よさに身をゆだねつつ、碧海祐人の音楽に浸るのが良い気がしている。

spincoaster.com

赤い公園「KOIKI」

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最後はこの曲を。君島大空が自らのライブで、弾き語りのカバーをしたことに、いたく感動してしまったのだった。

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