選択の痕跡

音楽・テクノロジー・哲学

2022.11 Monthly Best Songs

2022年11月に良かった音楽をまとめました。この月は14曲です。色んな人の年ベスを見るのは楽しいですね。(自分はまだ何も選んでいない)

  • Songs

Fake Creators「Fake Dub Melodies」

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アルバム「Figure」より。
アルバム通して、ビートの力強さが印象深いのだが、そこに乗っかる浮遊感溢れる音が心地よい。力強さにはLITEみを、浮遊感にはDÉ DÉ MOUSEみを感じるわけで、それぞれの個性がうまくバランス取れたプロジェクトになっていると思う。
こういう音楽、他にありそうで、意外とないかもしれない。アルバム通してそういう曲が多くて、とても面白かった。

ROTH BART BARON「HOWL」

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同名のアルバムより。イントロであちこちで鳴る声とそのエフェクト、そして低音の音色で勝負あり。
ロットの曲はいつもそうなのだが、曲の景色の視野が異常に広い。360度以上あるかのような広さ。そして、ドロップ的に使われるイントロの声たち、突然激しく鳴り響くドラム。これらの、速度ではなく密度での緩急に眩暈がするほど圧倒される。
三船雅也と中村佳穂の対談もめちゃくちゃ良くて、そういうところにもこのアーティストの凄みを感じる。

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mikiki.tokyo.jp

SASUKE「Get Money」

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なんだこれって感じで、大爆笑しました。この人、やることなすこと全部面白い。それでいて、気を衒った感じが一切せずに、真摯に音楽をやっているのがバチバチに伝わってくるのが良い。
爽やかなトラックに、こんなタイトルつけちゃうのも清々しい。フル英詞であることにより、リリックに込められた皮肉が良い塩梅に調整されているなと思ったのだが、もしかしたら皮肉でもなんでもなく、シンプルな感情かも。

RYUTist, 柴田聡子「オーロラ」

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各所で絶賛されているRYUtistのニューアルバム『(エン)』より、柴田聡子提供のリード曲を。
思い立って行ったワンマンライブの感想にも書いたのだが、音源を聴いていた時はいまいちフィットしなかった楽曲だった。それがライブでRYUtistの4人の身体が合わさることで、一瞬で理解できた。破壊力が段違いだった。
ひたすらにリズミカルな展開に、身体が合わさるとここまでになるとは予想だにもしてなかったし、そうやって聴いてみると、メロディラインも身体性が強い。その上でメンバーのニュアンスが滲み出たリリックも、このあまりに出来が良すぎて隙がないアルバムにあっては、非常に良い。だからリード曲なのかと、後付けで色々と納得している。
物凄い楽曲だ。

mikiki.tokyo.jp

natalie.mu

realsound.jp

natalie.mu

popnroll.tv

PAS TASTA, ピーナッツくん「peanut phenomenon」

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hirihiri 、Kabanagu 、phritz 、quoree 、ウ山あまね 、yuigot の6人によるプロジェクト、PAS TASTAの新曲は、このメンツに加えて、さらにピーナッツくんを迎えるという、カオス必至の座組。
もうなんか凄いのは分かっていたのだが、こう来るのか。なんていうか、とにかく情緒が壊れている。
それ以上になんと語っていいのか分からない。いきなり祭りビートになるのはなんなん?しかもその後は8ビート風味で叫んでいるし。
ここまででまだ1番。ここにピーナッツくんが入ってくるんだから、カオスオブカオス。
こっからさらに分けわからんのだが、分けわからんので最高です。

Kabanagu「想像上のスピード」

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Amazon Original HEAT』のプロジェクトにて、BOYの奥冨直人がKabanaguをピックアップして作成された楽曲。こういう支援で、色んなアーティストが楽曲制作する機会が増えるのは、良い話では。
最近のKabanaguは、本当に歌が良い。勇気がもらえる。奥底にそれほどの力がある。タイトルが如く、良い意味でトラックを置き去りにするスピードで駆け抜ける言葉たち。
そこには、"遅さ"や"速さ"といった概念とは違った何かがある。

eyescream.jp

たかやん「不登校でも生きてんだ」

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たかやんについては全然知らなかったのだが、以下の記事を読んでこんな面白いアーティストのことを全然知らなかったのかと愕然とした。本当に全然何も知らないな、、、
現象として面白すぎるわけで、まさしく"今"だ。これこそ、今の日本の圧倒的なオリジナリティが圧縮されたアウトプットなのかもしれない。
それでいて聴きやすいのは、歌だけ取り出せば、邦ロックの趣も感じ、耳に馴染むからなのかもしれない。

namahoge.hatenadiary.com

Mori Calliope「NEZUMI Scheme

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毎回書いているような気もするが、Mori Calliopのフロウはまじで面白い。過剰なほどに跳ねているのが、逆に良い。活動のスタイルに加えて、この過剰性には、Adoみも感じる。
VTuberの時代の音楽は、過剰性とポップネスを高次元で、シンプルに掛け算しちゃっている素朴さが、普通に面白いって感じがしている。

banvox「With You」

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banvoxについては、自分はLaserがとにかく好きなので、この硬い音にボーカルチョップを載せて、ドロップで派手にかますスタイルは昔から大好きなやつ。無敵のエモさ。
らしい手つきといえば、それはそうだが、それでも毎回良いんだから凄い。

Mom「¥」

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Momの5th Album『¥の世界』より。
イントロから不穏すぎる。自分は、最近のMomはめっちゃ怖いと思っているし、恐れている。それほどに、どんどんと研ぎ澄まされている。だからこそ面白いとも言えるのだが。
とにかく皮肉が効きまくっている言葉と音。そこに軽やかさがハイブリッドされた結果、生まれるとんでもない鋭利さ。 どんなものでも突き刺しかねないこの迫力はちょっと危険ですらあるから、怖いのだ。
でも今はこういう危険さを前面に出して突き刺すことが必要かもとも思う。しかしそれでも。最後に零れ落ちる本音に心が痛む。

ExWHYZ「You & Me」

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なんか色々あったっぽいが、背景はあまり存じ上げていないWackの6人組アイドルグループのアルバム「XYZ」より。
アルバム通して、プロデュース陣の豪華さから気になっていたのだが、この曲は音像が良すぎて、気持ち良い。構成は派手めなEDMのそれではあるんだが、そこまでがちゃがちゃした感じはせず、心地よい温度感で刻み続けるビートが身体に染み込む。

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Bialystocks「日々の手触り」

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今年個人的にもスマッシュヒットしたバンド、Bialystocksのメジャー1st Albumより。
このバンドは、ポップスの枠を押し広げていくタイプだろう。歌の力が凄まじいし、一つ一つ音の感触もポップスであることは間違い無いのに、どこかそこの枠に収まらない存在感ある楽曲たち。
この曲は、特に後半の圧巻の展開に息を呑む。シンセと声の重なり方があまりにも神々しい。こんな手触りがある日々は尊いだろう。

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浮「大汽」

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全然知らなかった。シンガー・ソングライターの米山ミサによるソロプロジェクトであり、〈ブイ〉と読むようだ
こんなにも人肌を感じる音楽をやっているアーティストがいるとは。距離感が近い。そこで鳴っている。そこで歌っている。
ジャケットのモノクロさも含めて、日本の古き良き雰囲気を6分間に閉じ込めて、世界の美しさを存分に描く。

turntokyo.com

君島大空「都合」

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初期の楽曲が音源化。SoundCloudには初期バージョンが、Youtubeには高井息吹とのライブバージョンが存在しているが、やはり合奏形態一発撮りは無敵だ。
どんな言葉も追いつかぬほど、音が活き活きと宙を舞う。