2021年に良かった50曲をまとめてみました。毎年思いますが、今年も良い音楽がたくさん聴けました。
- 毎月選んでいるベストをベースに選びました。
- 順位ではないです。最初と最後の曲だけ決めて、後は流れと雰囲気で曲順を決めました。
- 基本邦楽、ちょっと洋楽です。
- 簡単にコメントも付けています。
- 1アーティスト1曲にしています。
- アーティスト名・曲名に、Songwhipのリンクを貼っています。
- 出来るだけその曲に関する記事も、参考として記載しました。
ちなみにアルバム単位の選出は以下です。
宇多田ヒカル「PINK BLOOD」
2021年の1曲を選ぶとしたら、迷いなく宇多田ヒカルの「PINK BLOOD」を選ぶ。「One Last Kiss」や「君に夢中」も良かったが、「PINK BLOOD」の迫力は圧倒的だった。
特にリリック。全ラインに貫かれた。なんていったって、最後に「王座になって座ってらんねえ / 自分で選んだ椅子じゃなきゃダメ」と、明らかに日本の王座に座っているトップアーティストが、言い放つ。これが出来るのは、やっていいのは、やって強烈な意味を持つのは、宇多田ヒカルだけだろう。
つやちゃんのインタビューも最高で、この曲の素晴らしさと今の宇多田ヒカルのムードを抜群に引き立てている。
<完全版インタビュー Part.1>時代、そして自分自身と向き合いながら。ポップミュージックの最前線を更新し続ける、2020年代の宇多田ヒカル | Special | Billboard JAPAN <完全版インタビュー Part.2>時代、そして自分自身と向き合いながら。ポップミュージックの最前線を更新し続ける、2020年代の宇多田ヒカル | Special | Billboard JAPAN
宝鐘マリン, Yunomi「Unison」
日本らしいカオスな曲だ。トラックがまず異常ではあるのだが、それをVtuberの文脈でやるなんて。いやむしろVtuberというチャレンジングな環境だからこそ生まれたのかもしれない。それにしても、最近のYunomiワークスはどれもぶっ飛びすぎていて、最高に面白いアーティストだ。
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長谷川白紙「ユニ」
音も歌も抜群に綺麗。特に長谷川白紙の歌は、ますます魅力を増しているように感じる。しかし、その綺麗さの中には、そこかしこにバグが埋め込まれている。この綺麗さとバグのバランスがめちゃくちゃ面白い。
星野源「創造」
最近の星野源の確変モードはめちゃくちゃ好きだ。意味分からなさをキャッチーさで塗りたくって、一見ポップスに見えるぶっ飛んだ曲になっているのが素晴らしい。
Ado, Giga「踊 - Bon-Odo Remix」
今年は、ライブにはそんなに行けなかったが、いつかこれはフロアで踊りたい。Adoの力強い歌と張り合うかのように、狂暴に狂暴を重ねたようなEDMをぶつけていて、その過剰さが笑っちゃうぐらい良い。
aespa「Savage」
K-POPの、あまりにチャレンジングで、意味分からない音楽の質感は、非常に魅力的だ。
glaive, ericdoa「fuck this town」
Hyperpopを通った音はめちゃくちゃ大好き。
underscores「Spoiled little brat」
Hyperpopを通った音はめちゃくちゃ大好き(part2)。自由すぎる。
KM,(sic)boy「mad tokyo psychic (Theme of +81 Connect)」
2021年のKMは凄まじかった。出す曲出す曲良かった。盤石の(sic)boyとのタッグ作品は特に良くて、特にこの曲は、KMの尖りに尖ったトラックと、(sic)boyのフロウの魅力が、81秒間に詰まっている。
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(sic)boy, 釈迦坊主, KM「落雷 - KM Remix」
こんなラウドな音楽までやれてしまうとは。(sic)boyには、無限に期待してしまう。
SMTK, Dos Monos「Headhunters」
あまりに奇妙なグルーヴすぎて笑ってしまった。インタビューで、SMTKの即興をサンプリングして創った曲と聴いて、さらに笑ってしまった。
Dos Monos「medieval」
音楽としての面白さももちろんなのだが、音楽シーンに一切囚われない活動全般が面白すぎる。今、日本で一番面白いグループなのではないか。
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valknee, hirihiri「LIP LACQUER」
hirihiriのHyperpop風味のトラックに、valkneeが、らしさ満載のバチバチにカッコ良いラップを乗っけていて良い。
Awich, JP THE WAVY, YZERR「GILA GILA」
風格が頼もしい、最前線の日本のヒップホップだなと思う。
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BALLISTIK BOYZ from EXILE TRIBE「Animal」
大きく話題にもなったが、その話題が過剰評価では全然ない、純粋にクオリティの高い曲。
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Ryu Matsuyama「Snail feat. Daichi Yamamoto」
Ryu Matsuyamaは今年初めて知ったのだが、Daichi Yamamotoと最高の化学反応を生んでいる曲。ヒリヒリしたような緊張感すらあるが、Daichi Yamamotoの切れ味鋭さには驚いた。
STUTS & 松たか子 with 3exes「Presence Remix(feat. T-Pablow, Daichi Yamamoto, NENE, BIM, KID FRESINO)」
まさか日本のヒップホップシーンの最前線が、その雰囲気をしっかりとパッケージしたまま、お茶の間で流れるとは。
realsound.jp www.huffingtonpost.jp news.yahoo.co.jp
ここでKID FRESINOのことを少し触れておきたいが、シブヤノオトの生演奏は最高だった。このまま突き抜けていってほしい。 https://www.nhk.or.jp/music/s-oto/449385.htmlwww.nhk.or.jp
LEX, Only U, Yung sticky wom「TEAM」
LEXの凄みがようやくわかってきた感がある。過去を顧みずに、未来に向けてぶっ飛ばしている勢いが素晴らしい。
Awesome City Club「勿忘」
まさかACCがこういう形でブレイクするとは。でも、確かに良い曲だった。
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佐藤千亜妃「Who Am I」
きのこ帝国のボーカルではなく、佐藤千亜妃としてアイデンティティが確立されたように感じる。きのこ帝国の曲を経て、この音楽、歌に辿り着いたのが、めちゃくちゃ良い。
butaji, STUTS「I'm here」
こんなに力強い歌はそうない。
turntokyo.com mikiki.tokyo.jp www.cinra.net tokion.jp
colormal「延命」
バンドの良さが詰まっている。こういうのだよね。
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Conton Candy「ロングスカートは靡いて」
最近新しいアーティスト、特に若いアーティストを知る機会が圧倒的に減っているが、リリスクyuuちゃんのインスタライブでたまたま知れたという流れも含めて、めちゃくちゃ良かった。
King Gnu「一途」
King Gnuには色々と思うところもあるのだが、彼らがギターで突き抜けていく楽曲は、文句なしでカッコ良い。
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藤井風「旅路」
今年は風の年だったろうか。ポップスとしての強度とそのカリスマ性で、唯一無二のポジションをすでに確立してしまった。
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報道ステーションでのライブも、とても良かった。 www.youtube.com
三浦大知「Spacewalk」
なんとなく、藤井風と三浦大知の曲の対比がとても興味深かった。音の質感は全然違うが、根本にあるものはとても似通ったものがあると思う。
NOT WONK「spirit in the sun」
自由だし、ただただカッコいい。
note.com kompass.cinra.net rollingstonejapan.com tokion.jp
Yogee New Waves「SISSOU」
こんなに爽やかにお別れを歌うバンドもいるものだ。角舘健悟が参加している「POP LIFE: The Podcast」も、めちゃくちゃ面白かった。
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CYNHN「AOAWASE」
この曲は笹川真生が編曲だし、リミックスに起用するアーティストも最高に面白い。そういうところにセンスが抜群。
fishbowl「朱夏」
最高のアイドルポップスをやっているし、面白いことを次々に仕掛けているアイドル。この曲は、"朱夏"と"瞬間"という言葉を持ってきたことに、膝を打った。
natsumi, 和ぬか「イージーゲーム」
和ぬかのブレイクは興味深い話題だったし、この曲は、このご時世の中でも夏祭り感が満載で良かった。
https://www.billboard-japan.com/special/detail/3139www.billboard-japan.com realsound.jp realsound.jp realsound.jp
PEARL CENTER「clouds」
MATTONのボーカルが、まさに雲を貫くかのようで、素晴らしすぎる。
Megu「So good」
リリスク制作陣が良い仕事をした。一見ネガティブに見えるかのようなリリックを、引き受けて表現し切っているところに、Meguのアイドルとしての地力を感じる。
adieu「愛って」
何度か聴いているうちに、いつの間にか身体に沁み込んでいった曲。この音と歌の柔らかさを、ふとした時に聴きたくなる曲だった。
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RYUTist「水硝子」
君島大空プロデュースということで、ハードルが上がりまくっていたが、そのハードルを優に超えてきた。君島大空らしい滑らかさと凸凹さが共存した質感の抜群のトラックに飲み込まれずに、RYUTistがしっかりと自分たちの曲として、表現し切ったところに驚いた。さらに、う山あまねのリミックスは、もっと驚いた。
Vaundy「融解sink」
何をやっても相当高いレベルで表現できる器用さが、物凄いなと思っているが、奇妙かつ心地よい質感のビートの鳴りが、新鮮で驚いた。ごちゃごちゃさせずに、ビートで印象付ける辺り、Vaundyがただ器用なだけじゃないなと思い知らされた。
ミツメ「トニック・ラブ」
無限に聴ける心地よさ。tofubeatsのリミックスも良かった。
水曜日のカンパネラ「アリス」
メンバーチェンジにはちょっと驚いたが、コムアイに負けず劣らず、詩羽も魅力的だなと感じさせる曲になっている。
Isagen「Shoot you with my love」
過剰なまでにダンサブルでありつつも、中心は綺麗な音像であることを譲っていない。
Parannoul「To See the Next Part of the Dream」
あまりちゃんとアルバムは聴けていないのだが、興味深いシューゲイザーだった。
Porter Robinson「do-re-mi-fa-so-la-ti-do」
エレクトロって気持ちいいんだよねと再確認する。こんなに綺麗なドレミファソラシドがあるのか。
Mom「i am public domain」
Momが観る時代と社会の切り口には、見逃せない鋭さがある。ユーモアとアイロニーも含みつつ、ただ、明らかに真に迫るその姿勢には、身をつまされる。
mikiki.tokyo.jp fnmnl.tv spincoaster.com
betcover!!「幽霊」
異物。この表現がしっくりくる。この異物が、今後どうなっていくのか、楽しみだ。
D.A.N.「No Moon」
この曲は、ビート、特にハイハットの刻み方が好きすぎた。
rollingstonejapan.com realsound.jp
Kabanagu「いいだけ」
"いてくれればいいだけ"。このトラックに、このリリック。"今"の音楽だ。
millennium parade「FAMILIA」
millennium parade流のレクイエム。ここで生み出されるほどの緊迫感は、他にない。
realsound.jp gendai.ismedia.jp realsound.jp kompass.cinra.net
羊文学, 蓮沼執太フィル「マヨイガ」
最近の羊文学はめちゃくちゃ良い。正直こういう綺麗な音を響かせるバンドになっていくとは思っていなかった。"祈り"の音楽だ。しかも、そこに蓮沼執太フィルも絡んでくるなんて、これしかないという組み合わせで、無敵だ。
realsound.jp https://www.billboard-japan.com/special/detail/3382www.billboard-japan.com
Official髭男dism「Lost In My Room」
ヒゲダンのアルバムは素晴らしかったが、その中でも一番聴いているのはこの曲。強度が凄まじい。怒涛のファルセットで魅せる世界観は圧倒的なのだが、生活の手触りがあるリリックが、グッとくる。
realsound.jp realsound.jp mikiki.tokyo.jp rollingstonejapan.com
realsound.jp mikiki.tokyo.jp www.thefirsttimes.jp https://www.billboard-japan.com/d_news/detail/103198/2www.billboard-japan.com
小袋成彬「Strides」
小袋成彬としての今のムード、スタイル、ステイトメントを感じる。
我々が日々向き合う問題は、決して目の前の身近な話だけではない。自分ではどうしようもないような大きな視点からの話がありつつも、それを踏まえてなお、靴ひもを結びなおして、小さなストライドから歩き続けていく。歩幅を合わせながら。
lyrical school「SEE THE LIGHT」
2020年に続いて、2021年もリリスクの年だった。
ネガティブにもポジティブにも振り切り切らず、絶妙な温度感を保っている。それでいて、希望は手放さない。決して無謀な未来を描くのではなく、確実に手触りのある希望。
リリスク流のゴスペルは、まさに今鳴るべき音だなと思っている。今必要なものを、必要なだけ、必要な角度から、適度な不必要感も含みつつ。そういう音楽をやっている。
shogomusic.hatenablog.com note.com
Playlist of Spotify
最後に、簡単に全体的な感想を。
今年も2020年に続き、リリスクを中心に回った1年であった。その意味では、聴いている音楽とかは、去年とそんなに大差がなかったように感じている。
社会環境も、2020年のムードが大きく変わることなかったが、ようやくリアルライブも出来るようになってきて、自分としても少しずつライブに行けている。2年ぶりぐらいのリアルライブは、やっぱりオンラインライブとリアルライブは全く別物だなということを噛みしめている。2022年がどうなるかは分からないが、出来るだけ良い方向に行ってほしい。
シーン全体で見れば、2020年の衝撃的なYOASOBIや藤井風の流れがそのまま継続しているように感じていて、熟成の年だったかなと、印象としては感じている。その意味では、面白い出来事はそこまでなかったような気がするが、TikTokやサブスクでのヒットも定着してきていて、ここからどう発展させていくかが、また面白くなりそうだ。
正直音楽的な面白さの話は、これだけサブスクが普及してきているので、リスナー側がどう見つけるかだけだと思う。そうなると、あとはアーティスト側がどういう活動をしていくか。個人的には、Dos Monosがやっていることは大きなヒントなのではないかと思っている。シンプルで簡単なやり方では確実にない。けれども、こういう面白いことをやっていることが、しっかりアーティストに還元される、そういうシーンになっていってほしい。
2022年も、世の中自体をひっくり返したり、そういう面白い音楽を楽しみにしている。引き続き、いちリスナーとして、そういう音楽をしっかり受け取れるように、日々精進していきたい。
また、2022年はそろそろもう少しまともな文章が書けるようになりたいと思っているので、少し頑張ってみたい。