選択の痕跡

音楽・テクノロジー・哲学

2021.7 Monthly Best Songs

2021年7月に聴いた音楽をまとめました。
良い曲が多すぎて、書くのに大分時間がかかってしまった。あと記事がめっちゃ重いかもしれない、、、
7月は、選んだ結果を見ると、女性ボーカルのアーティストが多かったようです。女性のシンガーソングライターもラッパーもアイドルもバーチャルシンガーも面白かったですが、その一方で、もともと注目していた男性のシンガーソングライターの活躍も自然と目につくようになって、嬉しいです。

  • Songs

Mom「i am public domain」

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アルバムの最初の曲。アルバム通して一番印象に残ったのがこの曲。シンプルなビートに、この温度感。「ちょっと進んだ未来へ」。

果たして、どういうことなのか、この曲だけ歌詞がないことにもこの位置づけが表れているように思うものの、自分の中で解釈しきれていない。序盤の声のエフェクトにより複数人による歌(というかある種の叫び)のように聴こえるギミックや、中盤での分かりやすくて聴きやすいフロウとリリック、終盤での一気に曲の雰囲気が変わる展開、それら一つひとつに何かしら意味があるのだろう。

先行曲を聴いた時点で、今作のモードは予感されていたわけだが、その時点で、楽しみな気持ちと、怖い気持ちが共存していた。そして、実際に聴いてみた結果、後者のほうが強く感じられているのが正直なところだ。
これは、決して曲が悪いとかそういう話ではない。ただ、どこか自分のモードにしっくりこないのだ。アルバム自体は傑作と言っていいだろう。"解体"なども好きだ。それでもどこか、しっくりこない。なぜか、なんとなくだが、誇張や抽象のポイントが、少し自分の好みとずれているのかもしれない。今作はリリックの鋭さが特に印象的ではあるが、そこにどうもついていけていない。"俺が歌っている意味がわか"らなかったのだ。

まぁでも、それが悪いとも思わないし、この作品は、そういう微妙なずれのニュアンスについて深く考えることが大事な作品ではないだろうか。

fnmnl.tv

mikiki.tokyo.jp

4s4ki「m e l t」

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日本におけるハイパーポップの文脈で最近名前をよく見かけるアーティスト、4s4kiのメジャーデビューアルバムより。先行配信曲から、期待高まる出来だったが、その中でも、この曲の雰囲気に特に惹かれた。

そもそも、このタイトルに埋め込まれた不自然なブランクが、強烈にこの曲を印象付ける。イントロから不穏なトラックに、グロテスクなリリック。しかしそこには、リアリティを感じる部分もある。まさに、世界観が「溶けてる」。こういう絶妙なセンスが頼もしいアーティストだと思う。

ハイパーポップの枠で括られがちだが、本人の言う通り、そういう既存のジャンルにとらわれず、「ニューパンク」として、予算すら見ない最高にぶっ飛んだスタッフと共に、最高に面白いものを追求してほしい。わざわざこんなこと書かずとも、やってくれるだろうがね。

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natalie.mu

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Awich「GILA GILA feat. JP THE WAVY, YZERR (Prod. Chaki Zulu)」

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Awichが、Chaki Zuluのプロデュースの元、JP THE WAVYとBAD HOPのYZERRを客演に迎えてリリースした新曲。

一聴してバチバチに格好いい。ほとんどビートと、ゴスペルっぽいコーラスのみのシンプルなビートに対して、終始最高なフロウが続く。厳かな雰囲気があるトラックに仕上がっているが、そこにここまでがっつりとスキルフルなラップが乗ると、凄みが半端じゃないなと感じる。その一方でフックに中毒性があるので、意外とサラッと聴けてしまう構成も良い。ただ、リリックの一つひとつに、リスナーの胸元にまで迫ってきそうな鋭さもあるわけだが。

全くもって意識していないだろうが、今「GILA GILA」と聴くと、どうしてもAdoの「ギラギラ」を想起してしまったのだが、まるで真逆とすら言えそうな曲に仕上がっていて、個人的になかなか面白い。

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Dos Monos「Estrus (feat. black midi)」

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Dos Monosが、昨年リリースした2ndアルバム「Dos Siki」のリリース1周年を記念して、その曲をリミックスというか、新たに再構築しなおして「Dos Siki 2nd Season」をリリース。崎山蒼志、SMTK、小田朋美、Qiezi Mabo、N/K(菊地成孔)と谷王(大谷能生)によるJAZZ HIP HOPクルーJAZZDOMMUNISTERSといった、錚々たるラインナップが参加している作品だが、その中でも、black midiとの1曲を。

そもそもその曲のカオスさには通ずるものがあったり、black midiの来日公演のサポートアクトをDos Monosが担っていたりと、親交が深いことは知っていた。そこで遂に一緒に作った1曲ということで、まぁこの2組が組んでまともになるわけないので、それはもうひたすらカオスな曲である。

イントロからバグりにバグっており、自由自在に切り貼りされた音が織りなす世界観は、何が何だか分からん、それでもなんか分かる、良い、ってなるのが凄いところだ。アウトプットも意味が分からなければ、どういう風な作成プロセスを経たのかもよく分からないのだが、これこそが"再構築"だとでも言わんばかりの曲になっている。ただ、終盤の展開には、black midi感をなんとなく感じたのも面白い点だった。

ちなみに、TaiTanとMONO NO AWAREの玉置周啓がやっているポッドキャスト「奇奇怪怪明解事典」を最近聴き始めて、面白いなぁと思っているのだが、その中でも今作について少し触れていた。この曲、最後の1分30秒ぐらい謎のノイズゾーンがあって、まさに4曲目に入ったのかとおもったら、3曲目かい!ってなった。こういうところが、さらに意味の分からなさを増幅させていて、面白いなぁと思う。

ポッドキャストと言えば、Dos Monosと伊藤亜紗がWIREDでやっていたポッドキャストもめちゃくちゃ面白かった。どういう組み合わせかと思いきや、ラッパーの視点から面白い話に転がっていくのが刺激的だった。

spotifynewsroom.jp

open.spotify.com

wired.jp

SMTK「Headhunters(feat. Dos Monos)」

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そんなDos Monosが客演として参加しているSMTKの新曲も、意味の分からなさレベルで言えば同等レベルで最高である。

SMTKは一度ライブも観たことあるぐらいには気になっていたのだが、こういう曲になるとは。とにかくグルーヴがエグすぎるというのが感想。なぜにこんなに重くて、力強く空間を創りあげられるのかと思っていたのだが、インタビューを読んでいたら、なんとこの曲は即興で録った音源をもとに、荘子itがトラックを切り貼りして作られた曲ということで、驚愕。その制作プロセスには驚きしかないが、なるほど、この異常なグルーヴ感はそこから来ているのかと腑に落ちた部分も同時にあった。

この淡々と鳴らすバンド隊に対して、次から次へとラップを畳みかけるDos Monosのラップが生み出す、なんとも言えないアンバランス感というか、違和感が気持ちいい。

そういえば、インタビューを読んでいて面白かったのは、SMTKの音楽に関して、他の音楽からへの影響や文脈的なものはあるのか?と二度も問いかけられたのに対して、石若駿がきっぱりとそういうものはないと言い切っている点だ。作品における、偶然性や不確実性を意識して、自由に創りあげることを、とても大切にしているバンドだという解釈をしたが、それが出来るのは、確固たるスキルと信頼があるからであって、そういう意味で、とにかく面白いし、楽しみなバンドだなと再確認した。

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浦上想起「甘美な逃亡」

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注目のシンガーソングライターの浦上想起が、SMTKでサックスを務める松丸契を迎えて制作した1曲。

非常に浦上想起らしい曲だと思う。一聴するとポップな印象は受けるのだが、聴けば聴くほど、そのポップの印象の裏には、とてつもない量の情報量があり、毎回新たな発見をしてしまうような音楽である。カラフルな音像がゆえに、聴く度に新しい色を感じ、少しずつ印象も変わっていくという感じで、不思議だ。松丸契の仕事も流石だ、特にアウトロのサックスソロは圧巻の一言。

羊文学「マヨイガ

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アニメ映画「岬のマヨイガ」の主題歌として、羊文学が書き下ろした新曲。

イントロのギターから、やられてしまった。この優しい鳴りは、"祈り"の一言ではないか。
そして、ボーカルの塩塚モエカの身には聖性を纏っているかのような歌。力強くも優しいボーカルであり、ここ数年の塩塚モエカの深化には驚きを隠せない。こういうボーカリスト、こういうバンドになるとは思っていなかった。

切迫しすぎるわけでも、淡白すぎるわけでもない、絶妙な温度感のある音が鳴り続ける。これぞ"祈り"の一つの形だ。そう思わせるだけの力がある。

colormal「延命」

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エナガによるソロ・ユニットcolormalが4人バンドとなって戻ってきた。この曲もまさしく"祈り"だなと感じる強度がある。

colormalは「夢見る季節」の印象が強かったので、ここまでがっつりとバンドサウンドであることに少しびっくりした。特に、強烈に畝るベースは、まさにバンドらしさのある音像を作り出している。これだけ確かな楽器隊に支えられた強靭な曲は、よく"届く"だろう。
終盤のエモーショナルなギターは、単純にツボである。文句なしで上がる。

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Cö Shu Nie「undress me」

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2人組バンドCö Shu Nie(コシュニエ)が、テレビ東京のドラマ「女の戦争~バチェラー殺人事件~」の主題歌として書き下ろした1曲。

ジャズ感強めでスリリングな楽器隊の絡みが、シンプルに格好良い。勝手は印象として、もうちょっと捻った曲をやってるバンドのイメージだったが、ちょうど良い具合のポップネスがあって、とても良かった。特にそこまで前に出てくるわけでないが、ブラスの音がしっかり効いていて超良い。ボーカルもブレずに、曲の軸として一本中心にどっしり構えているので、曲全体のバランスが取れている。
最後のフックに向けて、ピアノとボーカルだけのシンプルに見せる展開もありがちだけど、こういうベタな展開も良いと思えるほどに、作りこまれていると感じた曲だ。

ANIMAL HACK & PARKGOLF & Naz「Can We Fly」

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シャッフルで適当に曲聴いている中で、耳を奪われた1曲。シンプルに良い曲だと感じた。関わっているアーティストを見て納得。ANIMAL HACKとPARKGOLFが関わる曲なんて良いに決まっているし、Nazは知らなかったが、この曲を一聴するだけで只者ではないことは明らかだった。カラフルとは縁遠い、なんともシャープに鳴らすシンセがとても格好いい。チルっぽさがありつつも、トラックには丸みというよりは一つひとつの音に鋭さを感じる。Nazの抜群のボーカルとも、ばっちり合っていて、クオリティの高さを感じる1曲。
ちなみに、Nazは冨田ラボやWONKの江崎文武が賞賛しているということで、なるほど、まぁ確かにこの声、そりゃそうだろうなぁと思った。

magazine.tunecore.co.jp

milet「Ordinary days」

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最近飛ぶ鳥を落とす勢いのシンガーソングライターだったが、こういう曲もやれるとは思っていなかった。このブログの最初の月間ベストで「inside you」を紹介したので、印象深いのだが、miletの特徴は、その力強く歌い上げるボーカルにあると思っていたものの、この曲はその印象を良い意味で裏切ってくれた。言葉を詰めて、少しずつ積み重ねていくようなフックは、完全に意表を突かれて、新鮮に聴こえた。

そういえば、miletが五輪の閉会式で出てきたことには驚いた。なかなか背景が公開されてないアーティストの認識で、ある程度露出をコントロールしつつやっていく路線なのかと思っていたので、思いっきりにマスにリーチさせる場所に出てくるのは、ちょっと予想がつかなかった。(まぁでも紅白も出ていたので、その意味では順当か)さらにここからギアを変えて、勢いを増すのかもしれない。

www.billboard-japan.com

realsound.jp

TAKU INOUE & 星街すいせい「3時12分」

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TAKU INOUEがソロアーティストとしてメジャーデビューし、リリースしたデビューシングル。TAKU INOUEのことは、ポッドキャストTALK LIKE BEATS」で話を聴いたぐらいだったし、星街すいせいについては今回調べるまでVTuberとは知らなかった。それでも、これはめっちゃ良い曲だと一聴して確信した。

トラックもリリックも、序盤の穏やかな夜を感じる音の雰囲気から、チルな感じの曲なのかと思わせつつ、途中で裏切られるのが面白い。 「One, twoで世界を変えたくて」を合図に、まさしく1.2で世界が一変して、リズムも複雑なジェットコースター的展開を見せる。ここで一気に引き込まれてしまったのだ。この展開を経ることで、「3時12分」ってめちゃくちゃ不安定な時間だなと気づいてしまったし、そこから世界を変えたいという気持ちが一気にこちら側に流れ込んできた。その状態で聴くフックは、リリックもメロディも、ひたすらに沁みた。

そして、最後は、「One, twoで世界を変えにいこう」ではなく、「One, twoで世界を変えにいこうぜ」で締めると。最後に「ぜ」を持ってきたこと、そして星街すいせいの言葉の置き方に痺れる。一気にWeの視点が強烈に前面に押し出される。曲を通して、視点が綺麗に変わっていくこの感じは、見事としか言いようがない、そういう曲だった。

ちなみに、なんで「3時12分」なんだろうなぁと思っていたが、インタビューによると、なんとなく出てきたのがこの時間で、カチッとハマる言葉が「3時12分」だったからとのこと。One, twoが、12分と対応しているので、世界をひっくり返すことで、次に来るであろうthreeが、3時と対応しているんじゃないか、なんてことまで考えてしまうぐらいには、最高な曲だなと思っている。

realsound.jp

natalie.mu

LITE, DÉ DÉ MOUSE 「Minatsuki Sunset」

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ここでインスト曲を1曲インタールード的に。LITEとDÉ DÉ MOUSEと絡んだら、そりゃ良いに決まっているなと。DÉ DÉ MOUSEのメロディアスな要素と、LITEのバンドとしての強い音がバッチリ噛み合ってる。序盤からの抑え目の音像が、1:45からの展開で爆発する展開は、ガッツポーズしながらヘドバンせざるを得ない。

Puhyuneco「akane」

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ついに最近サブスクに入ったようなので、ここで書いておきたい。ただし、自分にこの音楽を文章で的確に表現する術は一切持たない。どこを取っても、ひたすら凄い。これぐらいしか言えない。
どこからどう語ればいいのか、全然分からないぐらい、毎秒、超良いという、ただそれだけ。
あえて少しだけ書くなら、日本だからこそ生まれたポップスという感じはする。そして、今のシーンに繋がるような気もするし、明らかに別次元にいる気もする。不思議な音楽だ。

確か、以下にリンクを貼ったボカロ曲の紹介記事で知ったのだと思う。こちらに曲についてはしっかりと書かれているので、こちらを是非参考にしてほしい。

note.com

fishbowl「朱夏

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Puhyuneco「akane」から、この曲に繋げることが出来たというのが、最高であり、今月の記事としてはこれだけで大満足である。Puhyunecoとは全く違う路線ではあるが、"赤"という一点のみで、最高のアイドルポップスに繋ぐ。

fishbowlという名前は前にも見た気がするし、諭吉佳作/menをゲストに迎えた「深海 feat.諭吉佳作/men」はとても良い曲だったが、それ以上はちゃんと見ていなかった。が、この曲を聴いて、fishbowlは今後も必見だと感じた。

静岡発のアイドルグループということで、だからこそ静岡出身の諭吉佳作/menとの絡みがあったわけだが、プロデューサーは、ヤマモトショウ。なるほどなと思った。もとは、ふぇのたすでギターを担当していたが、解散後はukkaやフィロソフィーのダンス、その他多数のアーティストへ楽曲提供をしている。この人が関わっているのであれば、この楽曲のクオリティには納得である。ヤマモトショウのnoteには、

音楽プロデューサーの立場としては、当然この曲のクオリティの部分には全力で取り組むしかありません。特に製品クオリティの部分で「ローカルアイドル」である必要はありません。少なくともアイドル界で一番いい曲をつくろうと思います

とあり、この文章には徹頭徹尾、頼もしさしかない。

前置きが長くなった。そこで、この「朱夏」である。特に良いと思ったのは、"朱夏"と"瞬間"という言葉をキーワードとして、景色を作り出しているリリックだ。"朱夏"という言葉は今回初めてちゃんと調べたのだが、ピクシブ百科事典によると

季節の「夏」を示す言葉。転じて、人生の真っ盛りの年代、主に壮年時代を指す言葉として用いられる。

とある。なるほど、まさしくアイドルの刹那性にピッタリの言葉だ。そしてこの言葉を、"瞬間"という言葉の語感も近く、意味合いの繋がりも感じざるを得ない言葉と共に、キーワードとして、ストーリーを紡いでいく。アイドルとして、これ以上しっくり来るリリックはないのではと思ってしまうほど、くらってしまった。これしかないという正解を魅せられた気分だ。

もちろんトラックも素晴らしい。イントロから、シンセとベースとコーラスそれぞれで、リズムが入り組んでる構成など、一筋縄では行かせないぞという感があって、深みがある。Cメロのここまでの明るい展開とは変えた、エモいメロディの運び方も好きだ。

色々書いたが、今後のfishbowlは見逃せない。リリスクのyuuちゃんも注目していたので、リリスクとの絡みもいつか見てみたいところだ。

natalie.mu

yamamotosho.com

ukka「ガールズナイト

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ヤマモトショウが楽曲提供していたukkaも、1st miniAL「T.O.N.E」をリリースしていたので、そちらから1曲。他の曲も含めて、改名前の桜エビ~ずの時から、楽曲の質が安定して高いアイドルだと思う。ピアノが相当ダイナミックに動いているのが、印象に残る曲だ。

CYNHN「ごく平凡な青は、 quoree Remix」

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もう一組アイドルを。今回漸く読めるようになった4人組アイドル、いや正確にはヴォーカルユニットと言うべきか。「CYNHN」と書いて、「スウィーニー」と読む。ロシア語で「青色」の意を持つグループ名だ。

そんなCYNHNが、リリースした最新シングルは、表題曲の「AOAWASE」を笹川真生が編曲していて、それもめっちゃ良かったし、もう1曲のKan Sanoのリミックスも最強なのだが、ここでは、quoreeのリミックス曲を。

quoreeを知ったのは、柴 那典さんのnoteだったと思う。今っぽい過剰なエレクトロだなと思ったが、そのアーティストをここで見るとは。めちゃくちゃ面白いリミックスをしている。原曲は、とてもストレートな疾走感のあるギターロックなのだが、それが全然違う形に変えてアウトプットされていてビビる。世界がうねうねと形を変えるかのような音像だ。個人的には、上半期ベストのひとつ、アイドルRYUTistの「mizugarasu -ウ山あまねremix-」と通ずるものがあるリミックスだなと感じて、かなりツボだった。

予期せぬところで、予期せぬコラボが起きて、最高に面白いことになっているので、全く気が抜けないわ。笹川真生やKan Sano、quoreeといったアーティストと曲をやるという最高のセンスを持つ「CYNHN」、今後も見逃せない。

qetic.jp

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理芽「十九月」

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7月ラストは、理芽のアルバム「NEW ROMANCER」の締めくくりの1曲を。1月のベストにて「法螺話(with Guiano)」を選んでもいるバーチャルシンガー。肩書も面白いが、何より全ての楽曲を手掛けた笹川真生の仕事っぷりが素晴らしい。

この曲は、3月から、ひと月ずつ時を進めていく。そこで紡がれる数行ずつのストーリーは、フィクションとリアルが絶妙に混じり合いながら、12月も突き抜けて、SFのような世界観が見せる。
トラックは、厳かなオルガン的な音から、厚みのある低音が支えるビートへ、ここだけで普通じゃねーなと思わせる。特別過剰な装いをするわけでもなく、曲の世界観を深く創り上げていく。
2番へ繋ぐ場面などで、ワンポイント的に流れるギターリフ(シンセかも)にも胸を鷲掴みにされた。時折刻む厚いギターのカッティングも。これしかないなと思う、フックはあっさりとしたシンプルな鳴りにしている部分も含めて、このバランスで創り上げた笹川真生は、やっぱり只者じゃないなと改めて感じた。君島大空と並んで、今最も注目すべきシンガーソングライターかもしれないと思っている。(このトラック、すべて打ち込みなのだろうか、そうとも思えない鳴りをしているのだが、、、)

アルバムは、何か一本の軸があるというより、ジャンルもバラバラで、かなり雑多感のある曲の並びなのだが、それでもどの曲を聴いても、耳を奪われるポイントが必ず一つはある。必聴だ。

最後に、理芽はカバー動画もいくつもアップしていたのだが、碧海祐人を歌っていたり、VaVaやdodo & tofubeatsを歌っていたりと、選んでいる曲のセンスがめっちゃ良い。だからこそ、笹川真生と曲を作れたんだろうなと感じた。ヒップホップ系の曲もそこそこあったので、そういう楽曲も今後期待できるかもしれない。

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