選択の痕跡

音楽・テクノロジー・哲学

2020.4 Monthly Best Songs

2020年4月にリリースされた曲・アルバム/EPから特に良かった10曲を選びました。
4月も簡略版ですが、4月の音楽は、リリスクがとにかく素晴らしかった。

  • Songs


10:login「2EYES

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一部で話題になっていたlogin。とにかくググりにくいアーティスト名だ。何にも分からない。100 gecsのような、ポップスに異物感をふんだんに放り込んだような音楽で、一度聴いたら耳から離れない。
remarkable point:0:56からのクリーンなボーカルが、1:15を境に世界が崩壊していくかな様相を見せる展開

9:カネコアヤノ「爛漫」

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カネコアヤノはこれまであまり引っ掛かりがなかったのだが、ふと良いなと思った。そういう柔らかな魅力が眩い感じがして、良い。
remarkable point:フックの、あまりにも綺麗な言葉の並べ方とありありとした表現

お前は知るのか
季節の終わりに散る椿の美しさを
身体が火照るような赤、赤、赤い色
ぼくの ぼくの心の様

8:ステレオガール「I Don't Play Baseball

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注目の若手バンドの新曲。このバンドは音がしっかりしている。そこが本当にいい。歌詞の意味は掴みかねているのだが、どこか引っ掛かる言葉の使い方も非常に面白い。
remarkable point:イントロの力強いベースから感じる曲全体の強靭さ

7:TOKYO HEALTH CLUB「リピート feat. 塩塚モエカ」

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THCが羊文学の塩塚モエカを客演に迎えた1曲。硬めのビートに乗る綺麗なサウンドが心地が良かったり、リリックも一つひとつがとても良かったりと、全体を通して良い曲だなと思う。ただハイライトはやはり塩塚モエカのフックだろう。最近の彼女のエモーショナルな歌は、素晴らしい。
remarkable point:客演としての役割を十二分に果たし、曲の顔となっている塩塚モエカのフック

今日がダメでも/夢見てもいいでしょ/バカみたいでも
感動したいよ/止めないでビート/ストーリーはずっと続くよ

6:betcover!!「NOBORU」

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betcover!!が7月1日にリリースする2ndアルバム『告白』より。このアルバムは小袋成彬をプロデューサーに迎えて制作された(※)。
betcover!!のやってくれそう感は、前作から凄まじかったわけだが、なんというかこういう形の音楽として昇華されていくのがとても面白い。シンプルなビートとギターに、彼の歌が乗るだけで、こうなるのか。
こういう時代にあって、不思議な軽やかさを表現できるのが、彼のシンガーとしての底力のような気がする。

※"Love and Destroy"だけなのか他の曲もなのか、イマイチ判然としないが、以下の記事では『告白』のプロデューサーとして迎えたとの記載有り。

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remarkable point:序盤と終盤に訪れる不思議な浮遊感をもたらすコーラスワーク

5:Mrs. GREEN APPLE「PRESENT - English ver.」

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ミセスはずっと注目しているのだが、まさかこういう曲を出すとは思っていなかった。英語めちゃくちゃ良いと思う。大森元貴のボーカルがとても映える。というか、曲自体は結構シンプルであって、ボーカルがこの曲全体を形作っていると言っていいかもしれない。
邦ロックという枠から、良い意味で付かず離れずのような距離感を保っているバンドのような気がするが、そろそろ大きく飛び立ってもいい時かもしれない。
remarkable point:イントロから炸裂する、ダイナミックで壮大なボーカル

4:kZm「TEENAGE VIBE feat. Tohji」

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YENTOWNのラッパーkZmがなんとも豪華な客演陣を迎えて制作された1stアルバム『DIMENSION』の最後を飾る1曲。
とにかくカッコ良い。kZmももちろんだが、Tohjiがそういうラップを載せてくるのかという衝撃。
以下記事にもあったが、まさしく"初期衝動"に溢れた、力強い曲だ。

remarkable point:Tohjiのバースを締めくくる、覚悟のパンチライン

2020 Feelin good
背負って立つ

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3:藤井風「優しさ」

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藤井風がリリースする1stアルバム『HELP EVER HURT NEVER』のリードトラック。
すでに1stアルバムに対する賛辞の声が止まない藤井風だが、この曲は歌やトラック自体はとてもJ-POPらしい曲だと思った。しかし、それだけで終わらないのが彼だろう。曲を形作るビートが、とても面白い。J-POPらしくない。
複雑なリズムで、硬めの打ち込みのビートにしていることで、曲全体もただのポップスじゃない感を終始貫く。こういう面白い曲が、多くの人に聴かれるのはとても嬉しい。
remarkable point:2:51からの最終盤を盛り上げるかのように、暴れ回るビート

2:赤い公園「yumeutsutsu」

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満を持してリリースされた赤い公園新体制でのフルアルバム『THE PARK』のラストトラック。
イントロから、耳をつんざくような、これまで聴いたことのない音色のギターの音がとても印象だが、この曲の最大の功労者は石野理子に違いない。
前にも当ブログで書いたが、新ボーカルの石野理子はヒーローだ。凛とした佇まいが、その歌からストレートに伝わってくる。
クライマックスは、Cメロ。この赤い公園が、ここからどんな道を切り開いていくのか楽しみでしょうがない。
remarkable point:1:53からのCメロ。ビートが止まり、歌とギターのみとなるこの一瞬に、一気に込み上げてくる、とんでもなくエモーショナルな感情がある。

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1:lyrical school「OK!」

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OK!

OK!

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4月はリリスクだった。この曲は大好きだ。めちゃくちゃ聴いている。
あんまり中途半端に書きたくないぐらいなので、リリスクについては一つ別の記事を書きたいと思っているぐらいだ。
前作のアルバム『BE KIND REWIND』も素晴らしく、当ブログでも取り上げたが、その期待を軽々と越えてきた。
トラップベースで、とんでもなくノリが良いトラックに乗せて、とにかく全てを肯定していくリリック。
全く狙ったものではないだろうが、誰もが予想できなかった社会状況の今、確実に必要な音楽であって、こういうタイミングでドロップされたという事実が、何かを感じざるを得ない。
まぁ、とにかく、今のリリスクの曲が大好きすぎるので、ちゃんと売れてくれ。とりあえず、みんな本当に聴いてほしい。
remarkable point:トラックもリリックも全て。だが、強いて言えば、最後の時代とも偶然のシンクロを見せたパンチライン

人生は何秒 あと何度夏は来るの?世界って終わるの?
たまに無駄遣いしたってやりたいことやるだけ
それで毎日は続く レコードは行ったり来たりズクズク
365×5のマーチ 一番盛り上がるのはどのパーティ?

mikiki.tokyo.jp

  • Albums/EPs


altopalo「farawayfromeveryoneyouknow」

altopaloも彼ら自身も良く分からないし、曲も良く分からないのだが、ただ良いよなと思う。

kzm「DISTORTION

小袋成彬を迎えた「Anybody..」も、野田洋次郎を迎えた「追憶」も良かった。

ドミコ「VOO DOO?」

ドミコの曲は、シンプルゆえに中毒性がある。気だるい感じのボーカルも、ほどよくローファイな音とマッチしていて良い。

赤い公園「THE PARK」

正直に言って、赤い公園は終わったかなと1回思ったが、今の赤い公園はノリに乗っていることが良く分かった1枚。

lyrical school「OK!!!!!」

5曲とも良いので、ぜひ聴いてください。「OK!」の次に聴くとしたら、「Bring the noise」が個人的にはおススメ。


リリスク関連の最近の動画、どれも良いので、一見の価値あり。

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