選択の痕跡

音楽・テクノロジー・哲学

"音質"って良く分からないという話。

音質って良く分からないという単なる個人的な話。

年始に恒例の芸能人格付けチェックを何の気なしに観ていた。この番組では、大体楽器の良し悪しのクイズがある。今回は38億円と130万のヴァイオリン四重奏を聴き比べよという内容だった。

nomu1022.com

自分は耳が悪い。ある意味そこに自信があるくらいだ。だから、このクイズもいつも良く分からない。今回も普通に外してしまった。音楽は人一倍聴いているのに分からないものなのだなと思う。
そう改めて考えてみると、自分は音程や音質というものに結構鈍感なのだと思う。

余談だが、逆に、というほどでもないが、どちらかといえば圧倒的に"リズム"への意識が強いのだと思う。歌詞も音程もあまり覚えられないのだが、リズムは結構複雑なものも身体に馴染む。どこかで、音楽は音程で聴く人と、リズムで聴く人の二パターンがある的な話を聴いたことがあるような気がするが、そういう意味では自分は完全にリズムで聴くタイプなのだろう。 (探してみたら、こんな記事があった。 ⇒ 聴覚と視覚と右脳・左脳の関係)

さらに余談だが、リズムと言えば、先ほど漸く「リズムから考えるJ-POP史」を読み終えた。自分の興味が強いリズムという視点から、日本のポップミュージックシーンがまとめられた内容は、自分のような半端な音楽リスナーにとっては、点在していた情報が、リズムを軸に体系化されたように感じられ、非常に面白かった。また音楽を聴くにあたってリズムに関する、より深い視点を加えてくれたという点でもとてもありがたかった。今後も折に触れて見返すことだろう。未読の方は是非読んでみていただきたい。

リズムから考えるJ-POP史

リズムから考えるJ-POP史

  • 作者:imdkm
  • 出版社/メーカー: 株式会社blueprint
  • 発売日: 2019/10/03
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

話を元に戻そう。音質の話だった。
自分は、そもそもあまり音質にこだわる気持ちがないのだが、せっかくだから少し良い音質で音楽を聴いてみるかと思い、先日AVIOT TE-D01dというワイヤレスイヤホンを買ってみた。ピエール中野がおススメするぐらいだから、さぞかし良いのだろうと思った。

howto-it.com

結果、いまいち良く分からなかった。いや、そりゃ音質が悪いとは思わない。むしろ良いと思う。でも、そこまで良いか?と思う部分がなくもない。単に疑心暗鬼になっているだけなのだろうか。

そこでふと思い出した。自分は高校生ぐらいから約10年ぐらい、ずっと同じイヤホンを使っていた。PhilipsのSHE9700だ。

もう買えなくなってしまっているようだが、「マツコの知らない世界」でも紹介されたことがあるようだ。このイヤホンの良さは、なんといってもコスパの良さだろう。3000円くらいで買えるイヤホンで、1万円相当の音質みたいなレビューがいっぱいあり、当時の若き自分にはお値段的にもすごく満足だった。これが"良い音"かと思えたからだ。
加えて、U字型イヤホンに強いこだわりがあったため、選択肢が少なかったというのも、このイヤホンを長く使い続けた理由だろう。

www.pumpkindream.com

まぁそんなことはどうでも良いのだが、ものすごくたまに、このイヤホンで音源を聴いてみることがある。今回もなんとなく久しぶりに使ってみた。
"音が良いな"と思った。なぜだ。AVIOT TE-D01dよりも良く思える。勘違いかなと思い、何度か聴き比べもしてみた。難しいところだが、SHE9700のほうが少なくとも"好きだな"と思える。

普通に考えれば、10年聴き続けた音が単に耳に馴染んでいるというだけかもしれない。でも、"音質"とか"音が良い"っていったい何だろうって考えてしまう。
もちろん金額が高ければ良い音なんて限らないし、別にそうとも思っていない。なかなかに難しい世界だ。
そういえば先日行った秋葉原のイヤホン専門店には、たくさんの人が色々なイヤホンを視聴していた。きっと耳が良い人には、聴こえる世界が違うのだろう。そう考えると、自分はちょっと損をしているのかもしれないと思ってしまう。

www.e-earphone.jp

とか、色々考えていたが、そもそも自分はSpotifyで音楽を聴いているのだ。"音質"を考えるのならば、まずはそこからだろう。でも、一番大事なのは、結局"曲"だよねという、ありきたりな結論に至り、今日も小袋成彬の新譜を聴く。いやぁ、とても良い音楽だ。

P.S. SHE9700が好きな耳におススメのイヤホンあれば、教えてください。