2019年6月にリリースされた曲・アルバム、もしくは発表されたMVから特に良かった10曲を選びました。
おまけでその他で良かった曲なども書きましたので、良かったら是非。
■Songs
10:Maika Loubté「Mountaintop」
日本とフランスのハーフのSSWであるマイカ・ルブテの新曲。
7/12リリースの3年ぶりのアルバム「Closer」からの先行配信曲。
"いま"らしいエレクトロな音像で、さすがグローバルで活躍しているだけあって、世界標準の音を作りこんでいる印象を受ける1曲になっている。ボーカルもトラックとの相性が抜群で、ずっと聴いていられるような心地よさに包まれる。
MVはシンプルな構成だが、光の捉え方やその構成からメッセージ性も感じ、曲の雰囲気と合っている綺麗な作品に仕上がっている。
9:Julia Wu「Summertime (Julia Wu Mix)」
RIRI, KEIJU, 小袋成彬がリリースした「Summertime」を、台湾を拠点に活動する中国系オーストラリア人シンガーがJulia Wuがカバーした1曲。
"Summertimeこの夏のアンセムとして鳴ってほしい勢"の自分としては、こういうカバーがちゃんとしたリリースして出されていくのは嬉しい限り。
Julia Wuは知らなかったのだが、向井太一ともコラボもしているとのこと。
おそらく原曲そのままとのトラックに対して、Julia Wuは比較的癖の少ない歌声で、シンプルにRIRIのメロディを歌っている印象。ラップも言語は違うもののKEIJUのフロウに近いものも感じた。
それでも"らしさ"はあるし、改めて原曲の良さも感じる良カバーだ。
8:Serph「Surrealist」
トラックメイカーSerphによる9か月連続シングルリリースプロジェクト「Nanotech Wizard」の第3弾リリース曲。
毎回毎回良曲なのだが、今回も流石の出来栄え。
ピアノをメインにしながらも、ボーカルサンプルや時折見せる効果音から、宇宙を感じる1曲になっている。
また、大胆な曲調の展開も見せ、そこから感じる壮大さというのも、宇宙らしさを感じる一端かもしれない。
7:踊Foot Works 「KAMISAMA」
踊Foot Worksのニューシングルで、2枚組CD作品『GOKOH+KAMISAMA』に収録されている。
MVは刺激的すぎ、正直自分には意味不明なのだが、そういう面も含めて、これぞ「踊Foot Works」ということだろうか。
最初聴いたときは、そこまでかなと思ったのだが、何回か聴くうちに、ラップの鋭さに気づき、それ以来リピートしまくり状態である。
ここまで鋭すぎると、なかなか一聴して、すっとは入ってこないのではないか思うが、そういう姿勢も含めて、これが彼らなのだろう。
そのクオリティは誰しもが認めるところなので、最大出力でガツンとマスに届くような曲ができたときには、一瞬でシーンの中心に駆け上がっていくに違いない。
それにしてもラップかっこよい。
6:蓮沼執太「CHANCE feat. 中村佳穂」
天才×天才=大名曲。この曲はただそれだけですね。
最強のポップスを奏でる2人が組んで、こういう前向きな曲を鳴らしてくれているということ自体が、非常に嬉しいし、ありがたいと思う。
NOW YOUR CHANCE
行ってみれば
NOW YOUR CHANCE
不思議とひらめく
NOW YOUR CHANCE
信じてみれば
NOW YOUR CHANCE
そのまま 君に 微笑む
5:EASTOKLAB「Always」
名古屋を拠点とする4人組バンドで、以前は「The Skateboard Kids」の名で活動していた。
シューゲイザーやドリーミーポップの空気感を前面に押し出した楽曲が多い印象のバンドだ。
この曲もシンセサイザーの音色が特徴的で、ドリーミー感や多幸感を感じる。
ただ、それだけにとどまらず、フックでの、楽器の音を止める展開が非常に印象的で、センスを感じる。
このジャンルの中では、随一のバンドであろうことは間違いないと思う。
4:sui sui duck「holography」
12か月連続リリース中の4人組バンドsui sui duckの6月リリース曲。
この曲はイントロから持ってかれた。
ブラスとベースの絡みからの、一瞬の余白。これぞグルーヴではないか。
こういう曲まで出来るとは、本当に最近のsui sui duckの幅の広さには驚かせられる。
ブラスが本当にいい仕事しており、最後まで展開も面白く、聴きどころ満載の1曲に関わらず、なかなか聴かれていない印象だが、もっと聴かれるべきバンドだと思う。
3:BABYMETAL「PA PA YA!! (feat. F.HERO)」
2人体制になったBABYMETALが夏に向けてリリースした新曲。
「PA PA YA」はパパイヤの意だそうだが、曲調も一聴して分かる夏満載感。
良くあるソカのリズムで、踊りやすく、"祭り"といったワードも飛び出し、これぞ夏といった1曲に仕上がっている。
この曲を語る上で外せないのは、タイのヒップホップシンガーのF.HEROのラップパートを長尺で取り入れているところだろう。
正直、このラップパートはなくても良かったのかもしれないとも思う。しかし、あえてこのラップを入れ込むところに、BABYMETALのアティテュードが透けて見えると思うし、これはこれで非常に面白い化学反応を生んでいるようにも思える。
YUIMETAL脱退後のBABYMETALからはあまり面白みを感じていなかったのだが、ここ最近の3人体制に戻した辺りや、今回のリリース曲を観るに、また面白いBABYMETALが帰ってきたのかもしれない。
2:サカナクション「忘れられないの」
待望されていたサカナクションの新アルバム「834.194」からの1曲。
ソフトバンクのCMで少し流れていた時から気になっていたが、 新アルバムの中でもこの曲がダントツで好きである。
PVのテーマは「80年代前半の新しくて懐かしいポップスの世界を現代に再現」とのことだが、その音も確実にそういった意識を感じる。
イントロから、前面に存在感をアピールするベースがこの曲のキーだろう。ベースが生み出すグルーヴが、最高に心地よく踊れる1曲に仕上げる仕事をしていると思う。
タイトルの、"忘れられないの"も、最後に"の"を入れる言葉選びのセンスが流石だと思う。
なぜ、山口一郎がこういう曲を作ったのかが、未だにいまいちわからないのだが、それでも良い曲には間違いない。
1:ずっと真夜中でいいのに。「マイノリティ脈絡」
2018年に突如出現したプロジェクト「ずっと真夜中でいいのに。」が6/12にリリースした2ndミニアルバム『今は今で誓いは笑みで』からの1曲。
特にMVもないのだが、この曲がとても良い。
邦ロックも、エレクトロも、ラップも、今の日本の音楽を貪欲に取り込んで、かき混ぜて、2019年最先端の形でアウトプットしたような1曲だ。
特にサビの展開はめちゃくちゃ面白い。序盤から、ギターも歌もかなりの勢いで突っ込んでいる中、その裏で鳴るドラムが刻むリズムが変則的なのだが、それが突然四つ打ちに代わる瞬間は、"まじか!!!と思ってしまった。さらにそこからもう一回展開させるし、やりたい放題である。しかし、そこまでの違和感はないのが凄い。ここまで大胆にかつ、スムーズに展開させるのは、そう出来るものではないのではないか。
余談だが、これを書いているのは7/28のため、前日にフジロックの配信を観たのだが、めちゃくちゃに良かった。。。
謎のバンド構成で、テープを叩いたり、けん玉をやったりと、その自由度もさることながら、シンプルに演奏と歌そのものも素晴らしかった。初めてのフェスがフジロックで、そこでこれだけのパフォーマンスを見せるとは思わず、結構高く構えていたハードルを軽く超えられてビックリしている。
まだまだ、これからも突き抜けていくこと間違いなしである。
■Albums
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The Whoops「Time Machine」
埼玉浦和発の男女スリーピースバンドのフルアルバム。
青春を思い出すような哀愁とグッドメロディに溢れている。
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んoon「Body」
6/5にセカンドEP『Body』をリリースした4人組バンド、んoon。
読み方は「ふーん」。そのバンド名の異質さからも分かる通り、すでに彼ららしさの音と世界観を確立している。
今後の動向に要注目だ。
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black midi「Schlagenheim」
もはや説明不要ともいえるイギリスの4人組ロックバンドのフルアルバム。
これぞ「black midiの音楽」と呼べる、カオスな楽曲が揃っている。
でも、これはきっとライブで観てこそ真価を感じ取れる楽曲なのではないかと思う。
来日ライブが楽しみだ。
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BASI「切愛」
ヒップホップバンド韻シストでMCを務めるBASIのソロフルアルバム。
BASIのソロ作品はどれもそのチルさに脱帽なのだが、今作は多様なアーティストを客演に迎えた点が特徴的。
各アーティストの個性を生かしながらも、BASIの曲としてしっかり鳴っているその音楽は流石ベテランという感じか。
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kiki vivi lily「vivid」
女性シンガーソングライターのフルアルバム。
ブラックミュージックや、シティポップのような要素を感じさせながら、そのボーカルの心地よさや、そのアーティスト名からも溢れ出る言葉選びのセンスが存分に発揮された、生活感あるリリックが作り出す全体的な質感が、耳にとても馴染む作品になっている。一つひとつの音への丁寧さも感じられる点がさらに良い。
流石、ミュージックマガジンのレビューで10点満点を獲得しただけのことはある。
最近で一番嬉しかったできごと。
— kiki vivi lily (@ki_vi_ly) June 22, 2019
6/26発売の1st Album『vivid』がミュージック・マガジン名物ALBUM REVIEWSでなんと【10点満点】を頂きました。なかなか付かない数字であるがゆえに自分の中で目標の1つにしていたものだったので本当に嬉しい。。
インタビューと併せて是非チェックしてください🏵 pic.twitter.com/1cz10xUtVP
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ずっと真夜中でいいのに。「今は今で誓いは笑みで」
こちらは上述の通り。
EP単位で見ても、非常に良い。。。
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NOT WONK「Down the Valley」
何度も記事に書いているNOT WONKがリリースした3年ぶりのアルバム。
各所で絶賛されている通り、この1枚は確実に今聴くべきロックとパンクが詰まったアルバムになっている。
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PAELLAS「sequential souls」
4人組バンドのメジャーデビューアルバム。
その洗練された音はシティポップの流れを汲んでいるように思わせながらも、それだけに収まらない深さを感じる。
最近の作品で見せていた日本語詞がさらにPAELLASに深みを与えているように思える。
しかし、音から感じるのは、まさしく「平熱感」。
こういう絶妙で危うさすら感じるバランス感覚がこのバンドの魅力のひとつかもしれない。
■+α
その他、気になった音源を2つ書いておきたい。
三浦大知のライブ音源。
サブスクでもリリースされていたが、彼は断然映像で観るべきだ。
これぞ、日本の音楽エンターテイメントの頂点だと言わんばかりのクオリティである。
誰も彼も、一度は絶対に観ておくべきであると確実に思う。
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100 gecs「1000 gecs」
ネットで話題になっていた「100gecs(ワンハンドレッドゲックス)」のアルバム。
確かにこれは面白い。
"過剰さ"を終始感じるその音楽は、強烈な個性だ。
特にラストトラックを飾る「gec 2 Ü」は、序盤は爽やかさすら感じるエレクトロでありながら、終盤にかけてカオスになっていき、完全に最後はぶっ壊れ状態になるまでやり切る過剰さは、振り切っていて素晴らしい。
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