選択の痕跡

音楽・テクノロジー・哲学

2019.3 Monthly Best Songs

2019年3月にリリースされた曲・アルバム、もしくは発表されたMVから特に良かった10曲を選びました。

おまけでアルバム単位で良かったものや、観たライブの感想なども書きましたので、良かったら是非。

 ■Songs

10:ゆnovation「VaVa - Virtual Luv feat.tofubeats(Cover)」

soundcloud.com

トラックメイカー兼鍵盤ハーモニカプレイヤーのゆnovationが、VaVaの「VaVa - Virtual Luv feat.tofubeats」をカバーした1曲。

原曲ももちろん素晴らしいのが、ボーカルが変わると、こんなに印象が違うものかとびっくりした。

このカバーによって原曲とは違う一面の良さが引き出されたように思える。

軽快で耳なじみが良いゆnovationのボーカルと鍵盤ハーモニカで優しく展開されていくこのカバーは、春の陽気にぴったりだ。

 

9:The Whoops「SODA」

open.spotify.com

埼玉県北浦和発、3ピースロックバンド(催眠術師もメンバーらしく4ピース??)の配信限定シングル。

青春が詰まったような甘酸っぱさを感じる歌詞と音像がとても良い。

間口の広いポップさの中にも、インディー感もあり、これぞ日本のインディーロックという感覚が自分の中にはある。

変にこねくり回さないバランス感覚と地味に良い仕事をしているドラムがとても好み。

何度も繰り返される「歌うように笑って」というフレーズが非常に印象的な1曲。

 

8:君島大空「午後の反射光」

open.spotify.com

2019年大注目のSSW、君島大空の新譜から1曲。

MVにもなっている「遠視のコントラルト」は2月のベストに選んだが、この曲はその衝撃を上回った。

8分弱にも及ぶこの曲は、ポップスの枠に収まらない壮大な展開を見せる。

相変わらず耳に残って離れないボーカルに加えて、一つ一つの音の使い方のバランスが絶妙すぎる。

これ以上やれば崩壊しかねないようなギリギリ感で勝負していると思うのだが、それでもポップに聴こえるところに凄みがあるのだろう。

5:50辺りからの終盤への怒涛の展開は必聴だ。

 

7:Suchmos「In The Zoo」

www.youtube.com

Suchmosの最新アルバムから、リード曲を。

もはや今作のSuchmosについて、ここで詳細を書くまでもないだろう。 

良い意味で、これまでの彼らのイメージをぶち壊してくれた。

今でも彼らの最高作は「MINT」だと思っているのだが、それに匹敵するぐらいの曲を作ってくれたと思う。

彼らが今のシーンで、なぜこの位置まで上り詰めたのかを証明する作品となったことは間違いない。

このパンチラインが、それら全てを物語る。

夢も希望も無いのかい?救ってよロックミュージック

誰ひとり信じなくても 俺とおまえだけは 叫ぼう

 

6:崎山蒼志「烈走」

open.spotify.com

昨年5月にAbemaTVにて突如シーンに現れた高校生SSWの新曲から。

この曲は「第97回全国高等学校サッカー選手権大会」の応援CMとして書き下ろされた曲だが、個性的な声と歌い方から、既に非凡さを感じさせる。

まさに「裂走」というタイトルにふさわしく、2分間を疾走感あふれるガットギターと歌だけで、とにかく前へ前へ、速く速くといった感じで駆け抜けていく。

これだけ色味溢れる世界観を、ギター1本と歌だけで作り出せるのは、素晴らしい。

音楽の奥深さを再確認できるとともに、これからの活躍がさらに楽しみになる1曲だ。

 

5:柴田聡子「涙」

www.youtube.com

3/6発売の5thアルバム「がんばれ!メロディー」から。

MVの独自の世界観も気になるところだが、この曲の驚きはその音数の少なさと、その中で特に際立つメロディーである。

まさしく、「がんばれ!メロディー」ということなのだろうか。

ただそのメロディーと、絞られた音の強度が凄まじく、何度聴いても飽きることがない。

歌詞の世界観は、なかなか解釈が難しい部分もあるのだが、そういった面も含めて、単純には消費されることのない、素晴らしいポップスである。

 

4:Native Rapper「Swag Girl」

open.spotify.com

Native Rapperの新譜から。

これについては、以下の記事に書いた通りである。

もっと色々な場所で鳴ってほしい1曲だ。

shogomusic.hatenablog.com

 

3:桜エビ~ず「それは月曜日の9時のように」

open.spotify.com

ももクロエビ中と同様に、スターダストプロモーションに所属する6人組アイドルの新曲の配信シングルを。

去年のアイドル楽曲大賞でも大活躍の通り、これまで彼女たちの楽曲の質の高さには注目していたが、この楽曲は特にクリーンヒットした。

タイトルやアートワークからわかる通り、月9をモチーフにした楽曲であり、なかなかこの世界観は面白い。

音数の少なさや低音が注目される昨今のトレンドの中で、とにかく音数多く、ポップさとカラフルさを追求し、The J-POPという展開を見せるこの曲は、これはこれでやっぱり良いなぁと思わせる。

これを書く中で初めて知ったが、作詞:竹内サティフォ、作曲・編曲:ONIGAWARAとのことで、このやり過ぎなまでのポップさの原因がよく分かった。スーパー J-POPユニットと名乗るだけのことはある。

最高に良い仕事だ。

ameblo.jp

 

2:MON/KU「mickey?」

soundcloud.com

2019年、突然シーンに現れたMON/KU。

曲作りを始めたばっか?楽器も弾けないし、音楽的な知識もない?普通に仕事もしてる?

なんて"今"らしいアーティストなんだろう。

楽曲の質は、各方面から絶賛される通り、疑いようがない。

メロディはキャッチーさもありながら、トラックの音の鋭さやカタルシスも感じる展開には、驚きに溢れていて、とにかくカッコよい。

2019年の顔となる可能性も十分に秘めたMON/KU。ライブもするそうなので、今後の活躍がなお一層楽しみだ。

harvest.tokyo

 

1:浦上・ケビン・ファミリー「芸術と治療」

www.youtube.com

芸術と治療 - Single

芸術と治療 - Single

  • 浦上・ケビン・ファミリー
  • ポップ
  • ¥200

 

MVは1月にリリースされていたが、サブスクへのリリースが3月だったので、入れさせていただきたい。

MON/KUと同様、2019年の顔となる可能性を秘めた多重録音学生音楽一人ユニット、浦上・ケビン・ファミリーの1曲。

謎が多い存在ながら、NHKで流れたり、音楽コンシェルジュのふくりゅうさんの2019年上半期の要注目アーティストに選出されたりと、話題に事欠かない。

 

station.mu-mo.net

 

一聴して感じたことは、

「なんだこれは。よく分からない。脳が理解を拒絶しているが、絶対に良い曲だ」ということ。

メロディはキャッチーなのだが、歌詞は難解で何を歌っているのかはよく分からないし、リズムもやや不規則だし、音数も異常だし、途中の展開も驚きである。

ただ、確実に良い曲だし、何度でも聴きたくなる。

何か聴きたくなるようなことを書きたいと思うのだが、自分には無理だ。もはや放棄しよう。

以下に、歌詞や分析がまとまっているので、気になる方はそちらを参照いただきたい。

音楽なのだから、聴けばわかる。ただそれだけ。

note.mu

lichtung.hateblo.jp

 

■Albums

  • milet「inside you」

 2019年要注目のSSW。

ドラマタイアップ曲も素晴らしいが、最も面白かったのはノンタイアップのM3「Waterfall」。明らかに他の曲とは違う一面が観られ、彼女の可能性を感じる。

5月には早くも2ndEPが予定されているので、期待。

 

  • 柴田聡子「がんばれ!メロディー」

open.spotify.com

「涙」に限らず、他の曲も一聴の価値あり。タイトルの通り、とにかくこだわり抜かれたメロディーに良さが詰まっている。

 

  • Native Rapper「TRIP」

open.spotify.com

Native Rapperについては上記の記事の通り。

最初から最後まで、踊れて楽しめる1枚だ。

 

  • 君島大空「午後の反射光」

open.spotify.com

フェイバリットはM3「遠視のコントラルト」M5「午後の反射光」だが、もちろん他の曲のクオリティも素晴らしい。

中性的な声とカオスさも感じる音は、彼が追い求める「ギリギリ、音楽」の域にもはや達している。

www.cinra.net

 

  • さとうもか「Merry go round」

open.spotify.com

さとうもかの音楽は、自分には少し甘すぎるかと思っていたが、TommagプロデュースのM5「Loop」や、入江陽プロデュースのM3「ばかみたい」といった曲では、ちょうどいい甘さに仕上がっており、非常に良いと思う。

 

  • FIVE NEW OLD「WHAT'S GONNA BE?」

open.spotify.com

FINOの最新EP。

このバンドのEPはいつも質が高い。4曲とも繰り返し聴けるし、それぞれが違う良さを見せている。

もう跳ねてもいい頃だろう。代表曲が出来れば一気に来そうだ。

 

open.spotify.com

2019年ベストと名高い、ノベンバーの1枚。確かにこれまでに比べると聴きやすい曲も増えていながら、その鋭さはさらに磨きがかかっている印象。

これまであまり聴いてこなかったバンドだが、自分の中で、一気に注目度が上がった。

 

open.spotify.com

マスロックの楽曲を中心としたアイドル、sora tob sakanaのメジャー1stアルバム。

マスロックらしい曲ももちろん随所にあるが、フェイバリットはラストトラックのM11「WALK」。

World Fragment Tourと題した1枚の最後に「WALK」というタイトルを持ってくる辺りのセンスも憎いが、この曲は比較的シンプルなロックサウンドではあるものの、彼女たちのストレートなボーカルがフィーチャーされていて、とても良い雰囲気に仕上がっている。なんというか、まさしくエモい。

 

open.spotify.com

まさかSuchmosがこんなアルバムを仕上げるとは思わなかった。

早くライブが観たい。

M1「WATER」の教会でのライブ映像は素晴らしかった。これぞバンドだと言わんばかりの魂が込められた演奏だ。

www.youtube.com

 

open.spotify.com

荘子itの名前は、DATSで観ていたので知っていたが、こんなdopeなHipHopの1枚を仕上げるとは。Dos Monosも2019年の顔のひとつだろう。

M10「アガルタ」のパンチラインは震えた。

キックとスネアの間 生と死の狭間を痙攣する跳ねたハイハット

 

  • Billie Eilish「WHEN WE ALL FALL ASLEEP, WHERE DO WE GO?」

open.spotify.com

2019年は、世界的にはビリーアイリッシュの年となるだろう。

17歳という若さで、世界的ポップアイコンとなった彼女のアルバムは、その音数の少なさとこだわりぬかれた低音の中で囁くように届けられるボーカルで、世界を轟かせている。

2000年代生まれで「Billboard 200」で1位を獲得した初のアーティストとなったのも、何ら驚きはない。

 

■Lives

今をときめく米津玄師のワンマンライブ。

個人的には、まだまだこれからのアーティストだなと思う部分も多かったのだが、それでもこれだけの人気があるという事実がすごい。

 

  • 3/24 HARUSAKI @MAGNET by SHIBUYA109 屋上

Native Rapperを観にいった。春先というタイトルに似合わず、寒い一日だったが、ライブはもちろん最高だった。実際に現場で聴くと、さらに上がる楽曲たちだ。

ゆnovationのライブも良かったし、これが無料だなんて申し訳ないぐらいだ。

 

  • 3/28 Spotify presents Early Noise Special @EX THEATER ROPPONGI

Official髭男dismメインで他のアーティストも良い感じに揃っていたので観にいった。

驚きは、その豪華さ。

1ステージ8組ものアーティストもいたため、1組の持ち時間はかなり短め。転換の間はハリー杉山のインタビューで繋ぐという形。

なかなかこのレベルのアーティストを2曲だけしか持ち時間がないというのは、自分の経験上あまりなく、驚きだった。

イベントのセッティング等にもお金を使っている感が随所に感じられたし、こだわりを感じた。

Spotifyだからできたことかもしれないが、こういうこだわり抜かれたイベントは今後もたくさん増えてほしいと思う。

最初から最後まで、居心地よく楽しめた、良いイベントだった。

realsound.jp

 

 

以上、2019年3月に聴いた音楽のまとめでした。

3月は豊作すぎて、うまく選べなかった感があります。順位とかもう適当です。

でも良い音楽がたくさん聴けた1か月でした。

4月もきっと良い音楽がたくさん聴けるでしょう。