FACTFULNESS(ファクトフルネス)を読んで、"事実"について考え込んだという話である。
FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣
- 作者: ハンス・ロスリング,オーラ・ロスリング,アンナ・ロスリング・ロンランド,上杉周作,関美和
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2019/01/11
- メディア: 単行本
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2019年1月に日本で発売され、すでに25万部が売れており、世界でも100万部が売れているという大人気のこの本。
2019年の必読本となるだろう。
この本の内容については、色々な記事が出ているので、そちらを見てもらうとして、自分がこの本を読んでまず思ったことは、
「"事実"ってなんだっけ?」
ということだ。
ファクトフルネスというキーワードから、ファクト=事実が強調されており、事実をもとに判断しようというような流れではあるのだが、いや待てよと。
そもそも"事実"についてちゃんと理解しようじゃないかと思った。
"事実"でググると、「実際に起こった、または存する事柄。」とある。
ここで気をつけなければいけないと思うのは、"真実"とは違って、正しいか否かは関係ないことだ。("真実"でググると、「うそや飾りのない、本当のこと。まこと。」とある。)
例えば、この本の中で、子供にワクチンを接種させない親がいるという話がある。筆者は、そういった親はとんでもない間違いを犯していると指摘しており、その考えは改めるべきだと主張する。
しかし、ワクチンが危険であるということも、またひとつの"事実"なのではないだろうか?
「ワクチン 危険」でググれば、いくらでもそういった論調のページが出てくる。それが信用に値する情報かどうかは置いておいて。
これはファクトフルネスではないのだろうか?
こう考えていくと、ファクトフルネスとは何かがよくわからなくなってくる。
他にも、そもそも統計的指標の信頼性だって、どこまで信用していいかなんてわからない。国の統計資料だって正しいとは限らないのは、昨今の不正統計問題の通りだ。
同時期に読んでいたディストピア小説のフレーズに、こんなものがあった。もちろん文脈は全く違うわけだが、まさしくと思ってしまった。
事実?そんなものに何の意味がある?
じゃあどうすればいいか。
"事実"と"真実"と"解釈"をちゃんと使い分けることだと思う。
これだけ情報が溢れている現代で、自分が探したい情報は大抵見つかる。その情報はひとつの"事実"であることに間違いはないだろう。
しかし、それは"真実"とは限らない。
何かに賛成する情報があれば、反対する情報もきっとある。だからそのことにちゃんと自覚的にならなければいけない。
そして、その"事実"をもとに、自分はどう"解釈"をするのか。
"解釈"次第で、いくらでも話は変わってくる。"解釈"の仕方だって人それぞれだ。
何を選んだって正解かどうかなんてわからない、というか正解はないのだ。
どう折り合いをつけて、自分が選択した道を進むのか。
それが最も大事である。
というようなことをこの本を読んで考えた。
きっと筆者も、こういった批判は承知の上だったのではないだろうか。
その上で、それでも世界を変えるために、この本を執筆した。
自分はそう"解釈"した。